図書館の本を そっと開いた 静かな午後の いちばん奥で 最初のページの 主人公だけ なぜか私に 手を振っていた 次の章では 探偵が言った 「そんな顔して 帰るなよ」って 魔法使いまで 杖を置いて 今日はあなたを 応援すると ページをめくれば 声が聞こえる 知らない物語 みんな味方だ ページをめくれば 声が聞こえる まだ終わりじゃない 続きがあるよ ページをめくれば 声が聞こえる 泣いてる場合も 物語のうち うまくいかない 今日のあなたも 次のページへ ちゃんと行けるよ 昔の王様 宇宙飛行士 名もない村人 悪役までも それぞれ勝手な 言葉を使って 私の背中を 押してくれる 静かにしてください という札だけ 少し困って こちらを見てる 声援ぜんぶ 文字の中だから 司書さんには まだバレてない ページをめくれば 声が聞こえる 知らない物語 みんな味方だ ページをめくれば 声が聞こえる 失敗したって 伏線になるよ ページをめくれば 声が聞こえる 結末なんて まだ書かれてない ここで閉じても 栞を挟めば また続きから 始められるよ 閉館チャイムが 遠くで鳴って 本を閉じたら 急に静かだ それでも胸には 何十人もの 「いってらっしゃい」が 残っていた