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Asymptote

STUDIO

混ざり合えば濁るだけだと知っていた 鮮やかさを保つために僕らは離れる 重なりすぎた輪郭線が滲んでいく前に 正しい距離を測り直して背を向ける それが唯一の救済だと信じ込ませて 深夜二時の部屋に沈殿する埃 動かない空気が肺の奥まで満ちる 読みかけの本を閉じる指先が震えて 栞を挟むことさえ躊躇っている 続きを望むことが罪になるなら いっそこのまま文字が消えればいい 言葉を交わすたびに意味が摩耗する 理解し合えるなんて幻想だった 同じ景色を見ているふりをして 違う色を網膜に焼き付けていた ズレていく焦点が教えてくれる ここはもう居場所じゃないと サヨナラは悲劇じゃなくて機能的な処理 互いの成分を分解して元に戻すだけ 涙を流す機能なんてとうに壊れた 乾いた頬を撫でる風だけが優しい 記憶の断片をシュレッダーにかけるように 淡々と時間を切り刻んでいく 痛みが走る回路を遮断して 感情のスイッチをオフにする 君のいない世界が正常なのだと 何度も何度も脳に書き込む バグだらけの思考を修正して 冷たい朝を迎える準備をする 街の灯りがひとつずつ消えていく 誰かの生活が眠りにつく頃 僕は覚醒して靴紐を結ぶ アスファルトの冷たさを足裏で探る 行き先なんて決めなくていい ただここから遠くへ行くだけ 振り返ればそこに残像が見える 笑い合った日々が亡霊のように 手招きしても決して応じない 過去は標本箱の中で眠るべきだ ピンで留められた蝶のように 美しく残酷なまま静止して 混ざり合えば濁るだけだと知っていた 鮮やかさを保つために僕らは離れる 重なりすぎた輪郭線が滲んでいく前に 正しい距離を測り直して背を向ける それが唯一の救済だと信じ込ませて サヨナラは悲劇じゃなくて機能的な処理 互いの成分を分解して元に戻すだけ 涙を流す機能なんてとうに壊れた 乾いた頬を撫でる風だけが優しい 記憶の断片をシュレッダーにかけるように 淡々と時間を切り刻んでいく 未明の空が白み始める 境界線が曖昧に溶けていく 僕らは二度と交わらない 平行線のまま何処までも それが美しいと そう定義した