
心の中に二つの川がある ひとつは奔流となり奪いながら進み ひとつは泉となり静かに世界を潤す 同じ水なのに、なぜ行き先が違うのだろう 幸せはどちらの岸辺で眠るのか 欲望心は黒い風だ 満たされぬ空洞をかき乱し 掴んだものすら砂のようにこぼしていく 追うほどに影は伸び 胸の森は荒野へと変わっていく 手に入れたはずの光さえ 心の奥底では凍えていた だが、静かに灯る小さな火があった 昨日より少しだけ 優しくなりたいと願う炎 それは他者を焦がさず 自分を照らすだけの灯火 向上心は、空へ伸びる羽根 風を裂く力よりも 風を受け止める柔らかさで飛ぶ 欲望心は、地を抉る刃 触れた景色を壊しながら進む 幸せはどちらに宿るのか? 答えは足跡が語っていた 光で温まった土の上だけに 柔らかな花が咲いていた 欲望心は鏡の迷宮 未来を巨大に映し出し 手を伸ばせば伸ばすほど 像だけが遠のいていく 向上心は、小さな庭の種 すぐには咲かないけれど 育てた分だけ香りが満ちる その香りは風に乗り 誰かの明日を優しく彩る 二つの声は争うために生まれたのではない どちらの道を選ぶかで 人は自分という地形を形づくる 影を歩けば影が伸び 光を歩けば光が増えるように 向上心は夜明けの梯子 一段上るたびに 世界がほんの少し広がる 欲望心は沈む星の跡 輝いて見えても 触れればすぐ手から落ちる 幸せはどちらに宿るのか? 胸に残った温度で気づいた 軽く息が吸えた日こそ 心が光に近づいていた 影の翼で飛んだ夜もあった 海の底まで沈むような渇きもあった でもひとつだけ確かだった 奪う心では眠れなかった 育てる心を選んだ朝だけ 世界の色が優しく揺れた 幸せは遠くの理想ではなく 心の向きを変えた瞬間に咲く 向上心よ、柔らかく燃え続けろ 誰の涙も燃料にしない炎で 欲望心よ、影の片隅で休んでいてくれ 世界を深く傷つけないように 幸せはどちらにあるのか? 答えはとても静かだった 奪った量ではなく 育てた想いの深さに宿る 光で編んだ道の上だけに 未来という花が芽吹いていた

