
鎌倉の磯吹く風に穂先冴ゆる剣の気配 雨細やかに凍る土 庭の硬さに耐えかねて なおも静けき空を仰ぎつる 喉震い袖擦れ、吐く息の白き間を 一つ打つ しづやしづ しづのをだまきくりかへし 昔を今になすよしもがな 間を斬りて踊る命よ しらじとな言ひ 我はここにあり 舞い巡る袖の白きが雪となり 吉野の山に消えゆく跡を 亡き人を恋う心こそ絶えぬれど 斎庭に灯す我が涙なり 夢は霞みて氷の如き冴ゆる眼 音は轟き血は滾り いざ踏み鳴らせ しづやしづ しづのをだまきくりかへし 昔を今になすよしもがな 断てる剣はなきものとただ思し召せ これが我が舞 しづやしづ しづのをだまきくりかへし 昔を今になすよしもがな 手折るれば露と消ゆとも願ふところぞ ここになお消えず

