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M10 しずかな雷鳴

ほの灯に揺れる 格子戸の影 すだれ越しに 風がささやく 碁盤の目 迷いこむたび 古の声が そっと笑った 細き川 橋をわたれば ぽとり落ちる 赤い椿 昼と夜の すきまを縫って しじまに響く 笛のねいろ この町は 時が舞う場所 軒先に 物語が宿る 名も知らぬ 花の香りに 足をとめたら もう戻れない 教室ぬけて カフェにあつまる 五カ国語が とびかう午後 ノートに描く あしたの世界 町家の畳みに ロボットが踊る タブレット片手に 着物の少女 AIで染めた 和紙の色 伝統も アップデートして いまを生きてく わたしたち この町は 夢がほどける 未来が 古地図に描かれる カラフルな 言の葉たちが ひとつの空へ 溶けてゆく 藍ののれん くぐるたび 夢と現の 境い目がゆれる 傘の音 下駄のリズム しずかな雷鳴が 胸にひびく この町は 風が書いた詩 ひとつの景色が 永遠になる ふいに出会った 春の気配に 心までも 染まりゆく