水面にほどける 月の欠片 指先でなぞる 夢の残り香 川のほとりで 風を集めて 名前も知らない  歌をくちずさむ 遠くで揺れる 灯りひとつ 心の奥を そっと照らして ほどけていく境界に 身をゆだねれば どこへでも行ける気がして 流れて 流れて  水と同じように 形を持たない  やさしさでいたい 触れれば消える  光の粒たち それでも確かに  ここにあるもの 足元すくう 冷たいひかり 記憶の欠片が  浮かんでは沈む 言葉にできない  想いばかり 水面に落として  輪になっていく 見えないものばかり 信じてしまうのは きっとこの夜のせいね 漂う 漂う  夢と現のあいだ 名前をなくして  やさしくなれる ささやくような  水のメロディ 胸の奥深く  ほどいていくから ひとしずくの祈りが 波紋をひろげて 遠く 遠くへと 消えないように 流れて 流れて  水と同じように 帰る場所さえ  忘れてしまっても この手に残る  ぬくもりひとつ それだけでいいと  思えた夜 川のほとりで  目を閉じれば まだここにある  やさしい世界