いつもの廊下で さよならして 突然響く 自分の名前 首を傾げる 帰り際 静まりかえる 下駄箱 廊下の先で 見つめてくる 薄暗い 靴箱の並び 一瞬だけ 足を止める 息を飲んで 見つめ返す 長い廊下の 向こう側 遠ざかる 友達の声 ちょっとだけ 緊張する 二人きりになる 下駄箱 隣のクラスの 男の子 必死に耳まで 赤くして 切り出された 柴犬の話 可愛がっている 犬の話題 急に狭まる 距離感に 思考が回らないままで 何の用かと 問う疑問 戸惑いだけが 増していく 昇降口で 立ち尽くす 瞬き忘れた 目つきで 理由のわからぬ 焦りに 胸の奥で広がる 疑問 尖った耳と 巻いた尾 おねだり得意な 太り気味 大好きな あの姿 どうしてあの 犬のこと ようやく分かった 犬の名 ただ可笑しくなる 早口 一生懸命な 瞳に どうしても 視線離せない 一緒の授業も なかった二人 帰り道での いつもの話題 静かに溶けていく 緊張 こんな風に 親しくなれるなんて 深く話したことも ないけれど 熱意のこもった 勢い 届くはずない 言葉たち 胸の奥で 温めてた 目の前で赤くなる 頬に 言葉を詰まらせる 姿見て どうしてそんなに 急ぐのか 不思議な感覚で 見つめてる 夕暮れの時刻 近づいて 真剣なおねだり 顔つき 柴犬そっくりな 必死さ おかしさに 口元緩んでく 不意に呼びかけられた 声に 驚いた顔で 振り向いて 今日はこのまま 歩き出そう 不思議な気持ちの 帰り道 ずっと前から 気になっていたと 打ち明けられて 夕陽に染まる 両頬 驚くほどの近さで 同じ足取りで歩く 不思議な時間