
覚えてるよ あの日 お前を見つけた日 襖の奥で人形みたいに座ってた 伏せた目 揃えた手 完璧な跡取り でも俺には見えた お前の心の光が 使用人の目を盗んで 花を抱えて忍び込んだ 船の話 遠い海の話をした お前は俺を 星を吊るした奴みたいに見て あの瞬間 俺は誓ったんだ いつかあんたに海を見せてやる あの言葉に嘘はひとつもない さあ 手を取れ 今夜走るぞ 籠も誓約も置いていけ 海を渡った 潮を越えた 全部 お前の隣に立つためだ 家の名なんか くれてやればいい 壁も鎖も叩き壊す 海を見せると誓ったんだ この命に懸けて 今夜 お前を連れて帰る 俺の家は代々陸軍 血と鉄と大地の家 だが俺は海軍を選んだ 水平線を選んだ お前が絹に閉じ込められてる間 俺は陽に焼けて 世界の果てを追いかけた 聞こえてきた噂話 決められた見合い お前の人生が 生きる前に閉じられる 俺が黙って見てると思ったか お前が落ちる時 受け止めるために俺は生まれた いつかあんたに海を見せてやる その「いつか」は今日だ 聞こえたか さあ 手を取れ 今夜走るぞ 籠も誓約も置いていけ 海を渡った 潮を越えた 全部 お前の隣に立つためだ 家の名なんか くれてやればいい 壁も鎖も叩き壊す 海を見せると誓ったんだ この命に懸けて 今夜 お前を連れて帰る 外套にかすていら 髪には潮風 大したもんは何もやれない ただ広い空があるだけだ だがもし世界中が お前を連れ戻しに来るなら 俺がお前と闇の間に立つ それだけは確かだ さあ 手を取れ 今夜走るぞ 提灯の下を 人混みを抜けて 港の灯りが呼んでいる 潮はもう待ってはくれない 押し付けられた名前なんか忘れろ 俺の名がほしけりゃ分けてやる 海を見せると誓った その海がここにある さあ 一緒に来い 水面に朝日が昇る 俺は笑ってる だって分かるから ここからどこへ行こうと 二人なら 俺がいつだって お前を家に連れて帰る

