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秋恋、冬と越えて、春へ

ああ、なんだろう―― 紅葉の欠片が、 心の底へひらりと沈む。 この胸のうちを かすめる微温の風。 理由など、秋の空と同じく、ない。 ふと気づけば、 誰に告げるでもなく あなたの名が、 唇の裏に宿る。 手のひらから 透明なとまどいが 零れ落ちてゆく。 ごはん湯気よりも、 あなたの声がききたい。 そばにいないと おもうだけで 眠れぬ夜更けの窓辺 世界は光を覚え、 秋恋という名の影幻 指先に残る、 午後の陽だまり。 あなたの不在は、 まるで淡墨のように 静かに心を染めていく。 記憶の底で、 あなたの笑い声が 小さな波紋を描くたび、 過去と未来の境が やさしく溶けてゆく。 恋とは、 理(ことわり)のない詩だ。 理性の灯を消したとき、 人はようやく、 秋のやさしさに気づくのだろう。 もしも今夜、 月が傾ききる前に あなたの夢に触れられたなら、 わたしはもう―― 明日の朝を待たずに 秋そのものへと、 散ってしまってもいい。