出会ったのは 場末の半地下ゲーセン 痩せっぽちのチビで 目ん玉ばっかりギョロギョロさせて まるで野良猫みてぇなガキだった おごってくれって言うから イヤだって言ったら 「アンタに触られたって 大声だすから!」 カツアゲじゃねえか ふざけんな なのにそれから一緒に遊ぶようになって くだらねえ冗談で笑い合って 安っぽいゲームでムキになってさ ってなるまで大して時間は かからなかったよな いつも裸足に デッキシューズはいて 靴ずれするぜ 買ってやるから靴下履けよ 「蒸れるからヤダ」って バカそんくらい我慢しろ ナナ  あの頃のオマエは いつも腹をすかせて オレもそうだったけどさ なにかを探して それを隠してただろ バイクのケツに 乗せてって言うからさ メット被れって言ったら 「髪がぺたんこになるからイヤ」だって 危ねえし 捕まるだろ 大体 そんな大した髪型じゃ ねえだろって言ったら 血が出るほど噛み付いて来やがった しばらく噛み跡 取れなかったぜ もう跡形もなく  消えちまったけど 来る時ゃ連絡もしねぇで 不意打ちみてぇにいきなり来るし こっちから連絡したって 着信あるだろ なんで返事もしねえんだ 忙しいとか言ってたけど どうせ他の男のとこだろう なのに もう帰れって言っても 気が済むまで帰りゃしねえ しまむらで買ったような 安っぽい服しか着てねえのにさ 似合わないブランドバッグ パクったのかよって聞いたら 「ちゃんとお金 だして買ったよ、えらいでしょ」 当たり前なんだよバカ そのカネどうしたんだよ 聞こえないフリしてんじゃねぇ この距離で聞こえねえワケねえだろ 同じベッドにいるんだぞ いつもカネが ねぇくせにさ 妙にあの日だけは 珍しく景気が良くて 「今日は奢ってあげる」 バカ いいから貯金しろ いきなり拗ねて帰っちまった それっきり連絡もつかねえ 着信いれてもいつも通りに 既読スルーさ ナナ しばらく経って 保護司のセンセイが 「もうあの子に 会わないでください」だとよ ホントの名前はじめて知ったよ 塀の向こうに 行っちまった ケータイかけても 「この番号は」って 機械音声さ ナナ  今頃オマエ  何してるんだ どーせ相変わらず ワガママ言って 野良猫みてぇに笑ってんだろ ナナ  約束したろ 夏になったら 海にいってよぉ カナヅチじゃ ないって証明するって 冬に出会って 夏前には消えちまった ナナ  あばよ 本当はよぉ 言いたかったんだ  オマエの髪は 髪型はダサかったけど 髪は本当に キレイだったって