金網越しの青空 跳ね返るボールの音 白線ギリギリを 風が走り抜けていく 焼けたコートの匂い 少しズレたポニーテール 水を飲む横顔ばっか なんで見ちゃうんだろう フォームは完璧って 褒められてばかりでも 肝心な一言だけ 今日も打ち返せない ラケット握るより 難しい距離感 追い込まれるたび 笑って誤魔化してる 勝ち負けだけなら もっと簡単なのに 胸の奥だけ ルールが違ってた 0-LOVE 全部決めてるのに 肝心な場面だけ 上手くいかないんだ 駆け引きなんてもう 向いてないって分かる それでも目で追ってしまう 汗ばむ午後の中 ネット際の沈黙 風向きが変わってく “次でラストだね”って その声だけ残った 使い古したグリップ 少し剥がれたままで ちゃんと続いてく日々が なんか悔しかった 太陽に焼かれて 白線が滲んでる 負けたくない理由が 増えていく夏だった 遠くで鳴るホイッスル 夕方前の空 試合終わりの静けさが やけに胸に残る 本気になるほど 不格好になるなら もう少しだけ このままでいたかった 0-LOVE 綺麗に決めるたび 本当の気持ちだけ 空振りしてしまう 完封勝利なんて 全然出来てなくて たぶん負けてるのは ずっとこっちのほうだ 0-LOVE 最後のサーブが舞う 夕焼け染まるコート 風だけが抜けていく 言葉にならなくても きっと消えないまま 白線の向こう側へ 今日も走っていく 跳ね返るボールの音 少し遅れて響いた 夏の終わりみたいな風が 静かに吹いていた



