
おされさんめ! #おされさんめ #おすしさまぁ
おされさんめ! 白衣にあたる斜めの光 午後の窓辺で文字を追う この世界は 数式に満ちていて 流行という歴史の流れも 統計の中の話 寒さを凌ぎ 肌を守る ただの衣服 人が人として 生きるための ささやかな道具 レースにフリル 余分なものたち いったい何を語るのか 色の沈黙 肌とのあわい 言葉にならない 密かな法則 仮説に袖を通す 鏡のなかの見知らぬ人が こちらを見ていた おされさんめ おされさんめ いったい何を 企んでいる すれ違う人の まなざしが いつもより 少し気にかかる そう言い聞かせるこの胸が なぜだか少し 騒がしい おされさんめ おされさんめ 装いひとつで 変わるもの 姿かたちは同じはず 世界の輪郭が やわらいでゆく 駅前広場の 午後三時 人はそれぞれの 今日を歩く 服に合う色彩 ルージュの口元 あの人はなぜ 振り返った 服の色のせいだろうか それとも偶然という 外れ値か ガラスに映る私は 昨日までの私ではなかった 見慣れた街の 窓ガラス 立つ人々を 確かめる いつもの鞄 いつもの顔 けれどもいつもと少し違う 背筋を伸ばし 顎を上げ 歩幅をわずかに広げる 人の視線 私の意識 視覚の及ぼす 相互作用 おされさんめ おされさんめ 私の知らない 私の秘密 街路樹の影 ビルのガラス 昨日と同じ道 知らない色が目に留まる 知らない形に心が動く おされさんめ おされさんめ 理屈だけでは届かない 胸に刺さるボールペン 鏡の私が角度を変えている 正解のある問いを解き 誤りのない答えを探し 測れるものを測りながら 測れぬものを忘れていた 美しさの定義 心の単位 合理という名の物差しでは こぼれ落ちてしまうもの おされさんめ おされさんめ 布と色彩と人の心 小さな連鎖のその先に 知らない自分が待っている 素材 形状 色の名前 知らない言葉が増えてゆく おされさんめ おされさんめ 機能と効率 その外側 フリルの白か 紺色のリボンか まだ見ぬ靴も 気にかかる おされさんめ おされさんめ 明日は何を着てゆこう 世界は何も 変わらない 変わったのは この眼差し 口元の自信


