
巣の中は あたたかかった 風なんて 知らなかった だから今日は ちょっとだけ 怖いんだ 朝の屋根を蹴って まだ眠る街の上 羽なんてあるのかな なんて言って笑った 巣のふちまで来たのに また後ろを振り向いて あの場所にいればまだ 何も怖くないのに 遠くで鳴いた声が こっちへおいでって言う 知らない空を見上げて 胸の奥が忙しい 行きたい でも怖い 怖い でも行きたい 風が吹いた それだけで もう 後には戻れない 飛べるかな 飛べるかな 飛べるかなって 言いながら 飛んでみた 行けるかな 行けるかな 行けるかなって 言いながら 風に乗った 巣を出たら広すぎて ちょっと笑えてしまった 好きな場所も好きなものも 今日は全部遠く見えた 楽しそうな景色でも 何かひとつ足りなくて 色のついた世界なのに 少しだけ寂しかった 知らない枝にとまって また空を見上げてた 昨日まで見えなかった 景色がそこにあった 寂しい でも好き 好き だから寂しい そんなことも 風の中で 少しずつ わかっていく 飛べるかな 飛べるかな 飛べるかなって 言いながら 飛んでみた 帰りたい 帰りたい 帰りたいって 思えるから 行けるんだ あの巣の向こう側で 君はどこまで飛んだの 僕の知らない空の色 もう見つけたのかな 少しだけ羨ましくて 少しだけ眩しかった 君が遠くへ飛ぶたびに 僕の空も広くなる 君がいなくても平気 そんなふうにならなくていい 君を好きなままでいい ただ羽を閉じないだけ 帰りたいなら帰ればいい 飛びたいなら飛べばいい 君のことを好きなまま 違う空を見てもいい 巣を嫌いになるために 飛ぶわけじゃない 自分の空を知るために 少し遠くへ行くだけ 飛べるかな 飛べるかな まだ震えてる この羽で 飛んでみる 行けるかな 行けるかな 向かい風でも その向こうへ 行ってみる 君の空と 僕の空が 別々でも またいつか 同じ屋根を 見つけて 笑えるなら それでいい 巣を捨てたんじゃない ただ 今日は 少し遠くまで 飛んでみただけ

