Song Cover Image

Zeroのプロローグ 〜錆と羊水の零年〜

すべての灰が潮に洗われ、 錆びついた鉄の肋骨(ろっこつ)のあいだから、 青い血が静かに脈打ちはじめた。 ――「そうだ。私たちは、あの深海から這い上がったのだ」 凍てついたコンクリートの底で、 幾千の冬を越えて生き延びた一握りの者たちが、 はじめて瞳を開く。 水底の記憶を宿した喉が、微かな賛歌を紡ぎ出す。 暗黒の淵から、わずかな光が水面を揺らし、 荒廃の地にかすかな、あまりにも脆い「再生」の春が訪れた……。 しかし。 わずかに芽吹いたその命の温もりを、 彼らは再び、忘れていく。 錆びた歯車が、ふたたび噛み合う。 蘇った大地に、かつての過ちが影を落とす。 喉から漏れた歌声は、いつしか金属の摩擦音に塗り潰され、 人間はまた、同じ血の海へと堕ちていく。 終わりなき螺旋のなかで、 漆黒の闇は、静かに次の零(ゼロ)を待ち構えている。