
白刃覚醒 ~玉鋼の祈りと千年の刃文~
V6
硝子ケースの向こう側 室温二十度 閉ざされた静寂 スポットライトが斜めに落ちて 八百年の眠りを舐める 誰も触れ得ぬ漆黒の台座 我は息を潜め 君の瞳を待つ 視線が触れた零点五秒 胸の中で古の炭素が跳ねる 研ぎ澄まされた刃筋の奥 眠る火花が目を覚ます 踏鞴の業火 千度の槌音 水減しを越えて冴え返る地鉄 白刃に咲く匂口の銀河 人を斬るためでなく 美しく在るために 折れず 曲がらず 千年を照らせ Awaken, sacred steel, 君の魂を射抜け 折り返し鍛錬 十五回の熱 三万層の鉄が抱き合う 皮鉄の剛 心鉄の柔 矛盾を束ねた反りの黄金比 内曇砥が引き摺り出した 木目肌の微粒子が騒ぐ 匂い深き白煙の境界 沸の結晶が光を散らす ただの武器だと誰が言えるのか 我は祈りの結晶だ 丁子乱れの刃文は波濤 地沸を敷いた銀砂の海 砂流しの尾が闇を薙ぎ払う 鞘の内側で守り抜く静寂 朽ちず 錆びず 誇りを貫け Engrave the soul, 研ぎ澄まされた我を見よ 戦場を離れ 幾星霜 血塗られぬことこそ誉れと知った 名工が刻みし茎の銘は 命を奪わぬ無言の誓い 焔、焔をくぐり抜けた玉鋼 白銀の刃文が今 硝子を焦がす 人を斬るためでなく 愛されるために 千年の時を越え此処に咲き誇る 折れず 曲がらず 未来を照らせ Sacred masterpiece, 不滅の光を抱け 鞘に収まる 静寂の音 澄み渡る白刃

