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ウタカタノアワレ

V6

朝露ひとつ 葉を滑り 名前も持たず土へ還る 見届けたのは僕くらい それでも妙に目に残る 昨日と同じ空の下 昨日と同じものはない 気づかぬふりが上手くなる それを大人と呼ぶらしい 手にした途端 色褪せて 手放す頃には惜しくなる 随分勝手なものだけど 人とは多分 そういうもの あっけないほど よく似合う 最後の一口 ぬるいサイダー 惜しむくらいが丁度いい 満ちればあとは退屈だ 派手な結末はいらない 余白をひとつ残しておこう もう少しだけ のその先を 知らないままが美しい 月の輪郭 薄くなり 群青だけがほどけてく 明けてしまえば何事も なかったような顔をする 散った花びら拾うより 散るところだけ眺めていたい 持ち帰れないものばかり 妙に綺麗に出来ている 永く続けば馴染んでゆく 馴染めばいつか見落とすもの 終わりがそっと近づいて ようやく色に気が付いた 暮れきらぬ空 藍の手前 頼りない月がよく似合う 惜しいところで幕を引く 続きはなくて丁度いい 名残るものは 僅かでいい 袖に移った淡い香り 振り向く頃にはもう遅い そのくらいなら悪くない 水面にひとつ 泡が立つ 丸い世界を映しながら 触れる理由もないままに ただ弾けるまで見ていた あっけないから 目を凝らす 泡の向こうの薄い月 惜しいところで手を離す 余韻くらいは僕にくれ 咲き切る前の花がいい 明け切る前の空がいい 足りないものを数えるより 足りないままで愛でていたい ウタカタノアワレ 口にすれば野暮になる 泡がひとつ弾けるように ただ「嗚呼」とだけ零れればいい