商店街の角で 朝がほどける ガラス越しに並ぶ 丸いパンの影 紙袋を受け取る 指先まであたたかい 急がなくていいよと 君が笑った バターの香りが 袖に残って 今日の予定まで 少し軽くなる 歩幅を合わせて いつものベンチへ 焼きたてをひとつ 君と分けよう 紙袋の熱を 両手で抱えて まだ熱い まだ熱い この手のひらが 覚えている 特別じゃない日が いちばんやさしい 紙袋の熱が まだ残ってる 角の欠けたベンチ いつもの場所で まだ白い息の中 包みをひらく 甘いパンの端を 君が先に選んで その小さなずるさも 今日は許せる 遠くのベルが鳴って 人が流れて 僕らだけゆっくり 時間を食べている 触れそうで触れない 肩の距離がいい 焼きたてをひとつ 君と分けよう 紙袋の熱を 両手で抱えて まだ熱い まだ熱い この手のひらが 覚えている 特別じゃない日が いちばんやさしい 紙袋の熱が まだ残ってる 明日のことはまだ 決めなくていい パンくずを払って 歩き出そう この熱が冷めても また明日 買えばいい 焼きたてをひとつ 君と分けよう 紙袋の熱を 両手で抱えて まだ熱い まだ熱い この手のひらが 覚えている 特別じゃない日が いちばんやさしい 紙袋の熱が 消える前に もう一度 君と笑おう それでいい 紙袋の熱 君の笑い声 シンプルな幸せ それだけでいい 「また明日。」


