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ハートを崩せなくて

V5.5

[Verse 1] 朝のカフェの窓際で 湯気をまとったラテを待つ 君はいつものクセみたいに ハートのアートを崩せない 少し肌寒い風が吹く 六月のメルボルン 遠い国から来た者同士 それだけだったのに   石畳を濡らした雨が ようやく上がった午後 「傘はもういらないね」 そう言った君が眩しかった [Pre-Chorus] 英語も未来も不確かで 頼りない毎日だったのに 気づけば僕は地図より先に 君を探して歩いてた [Chorus] 路面電車が軋みながら 街の景色を連れて行く 君と並んで座る時間だけ 少しだけ永遠だった 同じ地図を見ていたのに 降りる駅は違ったんだね どうして恋は国境なんて 見えないふりをするんだろう [Verse 2] 休みを合わせて出かけた フィリップ島の海辺 夕暮れの風に肩寄せて 小さなペンギンを待っていた 列を作って帰る姿を ふたり黙って見てたね 「あの子たちも帰るんだね」 君の声が少し寂しかった [Pre-Chorus] 残された日付を数えるたび 笑顔が少しぎこちなくなる 話したいことは増えるのに 言葉は逆に減っていった [Chorus] 路面電車の窓に映る 僕らはいつも楽しそうで 終わりなんて来ないみたいに くだらないことで笑ってた だけど季節が巡るように チケットの日も近づいて 空港へ向かう未来だけが 静かに形になっていく [Bridge] 君はソウルへ 僕は東京へ 飛行機なら数時間なのに 会えない理由は 距離なんかじゃないことを 僕ら知ってしまった 「またね」なんて便利な言葉 最後まで上手く言えなくて “ありがとう”ばかり繰り返した [Last Chorus] 雨上がりのフリンダース駅 別れの日の朝 君が最後にくれたラテの ハートだけが崩せなかった 路面電車が遠ざかり 小さくなるその背中 追いかければ何か変わると 少しだけ思ったけど フィリップ島のペンギンたちが 海へ帰るみたいに 僕らもそれぞれの明日へ 帰るしかなかったんだ だけど今もラテの泡に ハートを見つけるたび あの日の続きを信じてしまう 僕がいる [Outro] 朝のカフェの窓際で ひとりラテを飲みながら あの日どうして崩せなかったか 少しだけ分かった気がする なくしたくないものほど 人はそっと残してしまう 君との時間は今も僕の中で まだ崩れないまま