[spoken] もう早いもので第12回 12回になるというのにこの話は いや、これ話なのか? 歌か〜 まあどっちでもいいや いまだに登場人物に名前がない キャラも増えて、混乱を極めてきた そういう主人公のボクにもまだ名前がない ハハハ 笑うしかないんだが そんなわけで、この歌の作者が 急にキャラに名前をつけ始めた 新入部員は1年の小春ちゃん いつもの君は2年・美咲(みさき) あとのギャルたちの名前はよく知らない ただボクはまだ名前で呼んだことはない 美咲(みさき)ちゃんかー、呼んでみたいなー ……いや、やっぱりいーい 前は君としか言えなかったのに 今は「副部長」と呼んでいる、それで十分 彼女もボクを「部長」と呼ぶ 前はオタクくん呼びだったから、出世したもんだ しかし、そんなボクにも 名前で呼べる後輩ができた 小春ちゃん、だ 先生がまた口を出してきた 「小春ちゃんが入ったことだし、同人誌作ったら?」 えー、マンガかくの? ボクらが? でも、マンガ研究会だしな……かくか! 「小春ちゃん、マンガのかき方教えて」 「先輩、そんな簡単に言わないでくださいよ」 「そうだなー、じゃー一緒にかこう!」 最初から分かっていたことだけど ボクに絵心(えごころ)だけは、なかった トホホ…… ただ、話の作り方や紙面の構成には どんどん欲が出てきちゃって 「小春ちゃん、こここうしたほうがいい」 (はーい) 「小春ちゃん、このキャラ、ここでこう言わせたら面白い」 (はーい) 「小春ちゃん、いや、このコマいらないんじゃない?」 (はーい) 「先輩、かいたことないのに……びっくりするくらい的確ですね」 「かかないけど、読むのは得意だから!」 ハハハ 横から後輩ギャルの声 「部長ー、小春ちゃんばかり何回呼んでるんですか」 「そんなに呼んでた?」 「私なんか名前呼ばれたこともないですよー!」 「ごめん、そーいや名前知らない。ハハ」 「莉奈です!」 「ごめん、莉奈」 「……呼び捨て?」 「うん? 莉奈ちゃん」 「ふん! あ、副部長来た! 美咲先輩!」 「小春ちゃん、このコマこうしよう」 「さすが先輩、気づかなかったです!」 「ほら副部長、ずっとあんな感じなんですよ なんだか二人の世界みたいで、やな感じ」 「へえ……でも楽しそうで何よりじゃない ちょっと私にも読ませてよ」 ネームの下がきを読み終えた君は すっと冷めた目でこう言った 「ここ、なんでこのキャラこの名前なの?」 「えっ」 「やっぱりキャラの名前って重要じゃない? 名前って大事よね、ね、小春ちゃん」 「はい、副部長……いえ、美咲先輩」 「名前と言えば副部長! 部長ったら私の名前知らなかったんですよ」 「えー、そーなんだー。あ、部長、私の名前は知ってるよね?」 「えー、知ってるよ」 「あれ、そーいや私、部長の名前知らない」 「あれれ、私も知らないかも」 「先輩、名前教えてください!」 (主人公):うわ〜どうしよ〜! ボクたちを見つめて先生が笑う 「……面白くなってきたわね」 名前がない! 困ったぞ! やっぱり、今回もマンガどころじゃない マンガどころじゃない! マンガどころじゃない!


