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恨み狸

V6

[Intro] むかしむかしの山里に 一匹の狸がおりまして 腹を空かせた人間に とうとう捕まったそうな [Verse 1] 鍋に湯を張り 火を焚いて 山の恵みと舌鼓 ところが ひと口食べてみりゃ 男は 顔をしかめたとさ 「くさい くさい こりゃ食えぬ」 箸を投げ捨て 鼻をつまんで 煮えた狸の肉をみな 裏の藪へと 捨てたとさ [Pre-Chorus] 残った毛皮は 綺麗に剥いで 綿を詰めれば 立派なもんで 床の間に置いて幾日か ある日 小さな虫が這う 「汚い 汚い もう要らぬ」 今度は皮まで 捨てたとさ [Chorus 1] うらめしや うらめしや 化けて出たるは 恨みの狸 打ち捨てられた 薮の陰 月夜にぽんぽこ 腹鼓 肉を臭いと 言うたのか 毛は汚いと 言うたのか 恨み 晴らさでおくべきか 狸の恨みは 消えやせぬ [Verse 2] それから男の鼻先に 妙な臭いがつきまとう 炊いた飯も 春の花も 腐ったように 臭うとさ 水で洗えど 香を焚けど あの日の匂いは 消えやせぬ とうとう 飯にも手をつけず 痩せた頬を 撫でるばかり [Pre-Chorus 2] 気付けば 男の目の前に 小さな虫が 一匹這った 払えば二匹 拭けば三匹 布団も茶碗も 虫だらけ 「汚い 汚い 誰か取れ!」 嫁が見てみりゃ 何もなく 男ひとりが 騒ぐばかり [Chorus 2] うらめしや うらめしや 化かし祟るは 恨みの狸 鼻には 腐れた世の匂い 目には 陽気な蛆の群れ 肉を臭いと 言うたよな 毛は汚いと 言うたよな 恨み 晴らさでおくべきか 狸の恨みは 消えやせぬ [Bridge] 医者を呼んでも 匙を投げ 神主呼べども 首を振る 夜半に聞こえる 腹鼓 ぽん ぽこ ぽん ぽこ ぽん ぽこ ぽん 「──臭いかえ?」 「──汚いかえ?」 [Final Chorus] うらめしや うらめしや 化けて化かして 恨みの狸 食えぬと言うなら 食わねばよい 見たくもないなら 目を閉じろ せめて 食ろうてくれたなら せめて 飾ってくれたなら 恨み 晴らさでおくべきか 狸の恨みは 消えやせぬ [Outro] 「許してくれ!」と男は泣いて 「もう堪忍!」と叫べども 藪から聞こえる 腹鼓 「おやおや…… まだ 捨てちゃいねぇのに」