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五分前から、いたくせに

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V6

五分前から、いたくせに [Intro] 駅前の時計が 六時を指した 僕は五分前から ここにいる 君は向こうの角から ちょうど六時に来た 「待った?」 「いや」 ……待ったよ [Verse 1] 君はいつだって 時間どおり 早くもないし 遅くもない 僕はいつだって 少し早い 別に楽しみな わけじゃない レコード屋の前 新しいジャケット 君が少しだけ 足を止める 「見たい?」 「別に」 そう言いながら まだ見てる [Pre-Chorus] 僕が店の扉を 開けて待ったら 君は何も言わず 先に入った ありがとうくらい 言えばいいのに でも帰る時には 僕の好きな曲を 覚えていた [Chorus] 君は静かすぎるから 好きなのかどうか わからない 僕も意地っ張りだから 聞きたいくせに 聞けないまま 二人並んで 歩いている 手と手のあいだ あと五センチ 近づけばいいのに どっちも少しも 動かない [Verse 2] 商店街を 抜けたところ 小さな雨が 降り始めた 僕は鞄から 傘を出す 君は自分の傘を 持っている ……持ってるんだ 少しだけ がっかりしたら 君は傘を 開かないまま 「入れて」 「傘あるだろ」 「今日はいいの」 理由なんて 聞けなかった [Pre-Chorus] 肩がふれないように 歩いていたら 君がほんの少し こっちへ寄った 僕もほんの少し 傘を傾けた たったそれだけなのに 雨がずっと 降ればいいと思った [Chorus] 君は近づかないくせに 離れることも しないんだ 僕も言わないくせに 帰り道だけ 長く選ぶ 二人並んで 歩いている 手と手のあいだ あと三センチ 触れればいいのに どっちもまだ 知らないふり [Bridge] 駅前の公衆電話 君が十円玉を ひとつ入れる 「着いたよ」 家への電話は それだけで終わる 受話器を置いて 君が僕を見る 「なに?」 「いや」 「帰らないの?」 「君が帰ったら」 少し黙って 君が笑った 「じゃあ、まだ帰らない」 ……ずるいな [Final Chorus] 君は静かなままでいい 言葉が少なくても わかってきた 僕も不器用なままでいい 君の隣なら 歩いていける 二人並んだ 帰り道 手と手のあいだ あと一センチ 信号が青に 変わった瞬間 君の小指が 僕の小指に触れた 僕は何も 言わなかった 君も何も 言わなかった でも どちらも 離さなかった [Outro] 次の日 駅前の時計 五時五十五分 僕が着いたら 君がもう そこにいた 「早いね」 「たまたま」 ……五分前から いたくせに