𝔸𝕀𝕌【𝔸udible 𝕀dol 𝕌niverse】 音楽プロジェクト"𝙇𝙄𝙉-𝙜𝙞𝙧𝙡 𝙉𝙐𝙈𝘽𝙀𝙍𝙎"が描く一大叙事詩  𝔸𝕀𝕌 # 5 - 6 https://suno.com/playlist/4e179df0-d129-4cf5-ba7a-fe8229949d05  [総集編] 3分でわかる 𝔸𝕀𝕌 https://suno.com/playlist/b46c3510-4f2f-49ad-8833-d42157db6a56  ↶⇃↧↡↓⇣⇟⇓⇊ 🆂🆃🅾🆁🆈 is below ⇊⇓⇟⇣↓↡↧⇂↷ ──────────────────────── 6️⃣ Siↄ|‹!S      (⑥~⑥) [dark cabaret, futuristic soundscapes, space opera] https://suno.com/playlist/3f45232d-8fb9-483f-872c-3cac9d06f1da 「 詩 とは 言 の 病 なり」(Poem=Logos+Siↄ|‹!S) 6️⃣ 詩篇『パピヨンの伝説』 ʚ(⑥'’⑥)ɞ 「血に囁く、五十の姫/宝石函の少女/虫愛づる姫君。」 ──────────────────────── 🅻🆈🆁🅸🅲  われは客間を往く金剛石の戦車なり。  門扉をジグザグに斬り、階を平打ちにして釵を製作する能動技師なり。  足首の鎖は寝室へと繋がり、阿修羅美人の手許からは離れられない。  われは鼓舞する幻燈時代の力士なり。  屹立する鮫肌の土俵上で、好敵手を気儘に蹴散らすことを生業とす。  鉄板の皺なら遍く押し延べられたが、女将を尻で敷いたことはない。  われは沙漠を流離う乞食の詩人なり。  毒を食らわば、詩語を吐き出し、蜜を吸わば、砂造の薔薇を咲かす。  窶れた心に居残りたるは、故郷の(嫁)。他人に娶られた御転婆娘。 あんなに家に懐いていた娘たち三人を順に見送り、 置き去りにされた髪飾りは何時の贈り品だったのか、 朝から記憶を辿っているのだが、一向に思い出せない。 七五三、とおの誕生日、進学祝いかその他の記念日にか。 それはそうと、何番目の娘の持ち物かさえも判らずにいる。 八つ時に温い紅茶を頂き、妻とつかの間の静寂を共有する。 何がつかの間、これからは当たり前になるのと妻が云う。 長いこと自分のために化粧をすることもなくなった妻。 娘たちを手離し、心中には何が残っているのだろう。 釵でも買ってきてやろうと思いつき、紅茶を呑む。  酔いどれの宵に、見入る女はまぼろし。  色香も、美貌も、絵空事。  水にどつぷりと頭を浸けてきなさい。  夢は醒め、冷めざめとして皮膚の色味も増すだろう。  こちらの蜜がより甘いと気付くだろう。  だからなお更、少年風情には勿体ない。  逢坂の上で待つ、案山子/早乙女/恋女房・死臭を嗅ぎつけてきた鬼子母神の目頭・背景には太った落陽・塵芥収集の車輛よ、来い。遠く色褪せた河川敷の途中まで・点点と足跡つける魔女の血/霙/流星・不浄のうち・細切れになる蜃気楼・霞は滴り、水溜りになり、蒸発して地を這う芋虫になり、蛹化/木乃伊/包装された冥府を発ち、破壊された妖精の丘へ。  五十を数える贋作の絵/似姿/虜の肖像・常若の国よりみすぼらしい墓穴を選んだ先人を嘲笑うかの如く・PHANTASMAと称された精神展開薬/虞美人草の根を剥いで湯に晒し擂り潰し繭のなかの混沌を絡めた/媚薬に、惑わされた手品師の如く・魔法で構築した茨の門/樹液の塔/密かなる四阿に祀られた、勢いばかりの猛き姫君/絶世の美女子/迷妄の巫女。  われは天漢を流るる宇宙の気息なり。  舟を漕ぎ、翡翠の眠りを拒みながら、水底の石を積上げる僧侶なり。  貌も、業も、神経も失くした妻への細やかなる聖柩を築く作業なり。                         ……て。          ……ふ。 買ったはいいが、渡し方に苦心した挙句、妻の寝室に赴く。 わかりやすいところに隠そう、すぐに取り出せるように。 ひらめいたのは鏡台上の小函。覗くと叱られた、あの。 螺鈿が煌く装飾に気圧されつつ、蓋を開ける。ふと、 ここからは鏡越しでしか見えぬ背後、寝室の扉が。 引き攣った顔に浮かぶのは驚き以外の何でもない、 卑屈な、貧相な、被虐な、作り笑いに遜色ないまま、 坩堝に嵌っていく、ずぶずぶと耳介の奥に響く。恰も、 手前の美麗な翅が黄土の褐色に変じていく様子、Aaa、 腐心し覗き込むと、メルシナ型時空に埋もれた少女居眠る。 て……  ふ……。  極彩色の貝殻を授けたが当然波の音を聴くこともなく、模糊の視点で鑑みる鈣(加爾叟謨)の味を嗜む余裕もないらしい。ましてや立ち上る匂いも温度も、つまりは形相も感じ得ることなく、砂塵のなかにばら撒く愚者も居るものである。脳裏に幾ら星屑や乖離の恋人同士を描いていようが、不可思議な網膜に映る悲喜交々は神の夜語りに昇華され、夢を費やすに徹す。  貝殻の臭気が(本来、主である二枚貝の霊体でもあるが)生命の実体であり、情動の陽炎である。カリギュラの力漲る禁忌を破った行いのみでなく、無駄な浪費も罪であろう。厭離の暇はなく、脳回路が焼きつくまで、神経が固く結びつき蝶を模すまで、  空虚のエナジー……孤児のエネルゲイアに取殺されるべきだ。 どうしたのと真顔で訊ねられ、思わず紅茶を洩らす。 布巾で拭いながら、先刻は午睡の幻影だと気がつく。 電飾に恋する蛾/少年と同化した蝶……それも幻影。 娘が喜ばないからと云い、妻も喜ばんと何故決める。 総ては時が来てから、事の一切に帰着するのだろう。 変なひとと笑う妻から庭に視線を移し、緑を眺める。 手品師のような大きな蝶がゆっくりと密林を抜ける。 我が家の小庭はいつからか蝶道になっていたらしい。 後に続く、第二/第三の蝶/ひらひらと舞う聖少女。 上品に、優雅に翅を羽ばたかせる大きな蝶は、長女。 ひとつの花の周りばかり踊る中くらいの蝶は、次女。 休みなく花から花へと飛び回る魅惑的な蝶は、末女。 それでは君はいったいどの蝶なのか、と虚無に問う。 血に囁く、五十の姫/宝石函の少女/虫愛づる姫君。  酔いどれの宵に、見入る女は魂。  色香も、美貌も、幽かな行灯。  水にどつぷりと頭を浸けてきなさい。  夢は醒め、冷めざめとして皮膚の刺激も増すだろう。  こちらの蜜がより苦いと気付くだろう。  だからなお更、詩人風情には勿体ない。     て……。   ふ……。                   て……。                           ふ……。 ─────────────────────── 🆂🆃🅾🆁🆈  第5章 『𝐃𝐢𝐬𝐚𝐩𝐩𝐞𝐚𝐫𝐞𝐝!』 vol.18 〚……どうして、蝶を閉じ込めた?〛  返事を待つかと思ったが、意外にも早かった。恐々とクルミが前に出てきて、深々と頭を下げた。 「ごめんなさい。私が悪いの。その、……音楽を忘れたくなくて……」 「クルミだけのせいじゃない。これは全員の問題だよ」  ツクシが隣に立つ。同じように頭を下げる。他の者も同じように続く。シズク、カオリ……四者とも綺麗に一列に並んで、頭頂を見せている。まるでこれではイジメみたいなものだな、と私は少し居心地が悪くなってしまった。責任の所在なんてどうだっていいのだ。  私が知りたいのは、どうして、"忘れて" しまっているのか――ということだ。 〚そうだろう?君がいちばんよく知っているはずなのさ、……アカリ殿〛  ツクシが腰を折った姿勢のまま、後ろを振り返る。列に加わろうとしない者がひとりいることを不思議に思ったのだろう。その者を見て、ツクシは声を上げた。 「アカリ!?どうした?」  つくづく、まるでこれではイジメのようなものだと、私は少し反省している。仕方がないのだ。  ここは "そういうところ" なのだから。  ツクシの声で前列の他の三人も、何事かと起き上がった。背後でアカリが両肘を抱えて、うつむきながら首を大きく横に振っていた。発作の症状にも近い。だが、持病などはないはずだ。まぁ、これも一種の病気のようなものなのかもしれないが、偏見は誰の為にもならない。  アカリという少女が今まで隠し持っていた――自身でも気づかずに、否、気づきたくなかったのかもしれないが――彼女特有の力を、何の類かと振り分けることに意味はなく、ただそれは少しずつ彼女の心を蝕んでいたことには変わりない。  そして、今このとき、彼女は悟ってしまったのだろう。    私の安楽椅子の後ろに小さい女の子がいることを。 「どうして、……"いる"の?……」  いけない。これ以上は、あまりにも人が悪すぎるな。荒療治過ぎたか。  自発的に気がつくことを期待していたが、私にもほんの一握り良心というものがあって、たとえ幾つかの罪を犯したとはいえ、ひとりの少女の心まで毀すつもりなどないのだ。  道標を与えてやろう。 〚アカリ殿。あのデパートの屋上から眺める景色を思い出してみたまえ。君は何を思って、それを見ていた。何を思って、屋上に立ったというのだね〛 「……デパート?……ねぇ、アカリ。あそこにいる女の子って……」 「ツクシ殿。誘導ありがとう。だが、友人の心が落ち着くのを待つべきだ。十中八九、ツクシ殿が思い起こしていることが事実である。しかし、アカリ殿の心はまだ見えるところに立っていないよ」  肘を包んでいたアカリの両手は耳を塞ぐ役割に変わっていた。  彼女はいつも閉じ込めたがる。 〚その誰かさんには死というものを身近に感じるちょっとした"癖"があったんだね。負のオーラを長い間、瘦せ細った心臓に溜め込み、耐えしのいできた。自らの心の器を無視できる方法は、詩作、絵、自然と戯れること、その誰かさんには何かを解放する作業が必要だった。〛 〚ところが、ある一件で誰かさんは二週間ほど、狭い部屋で寝泊まりをした。高熱が引いたあとも、体調は芳しくなく、夜もあまり眠れない状態で。そうでなくても場所は、生と死が同居する病院の一室。すぐに誰かさんの心は虚無で満たされてしまった。そんなとき、この子と出会った。〛 〚だが、その生活も長くは続かない。本来それは喜ぶべきことであったが、誰かさんは不安で押しつぶされそうだった。待ちに待った外の景色、外の空気だのに、誰かさんは圧力で押しつぶされそうだった。隔離されていたころの方がよっぽど幸せだったかと思ってしまうほどにね。〛 〚漂浪する魂のごとく、風船のごとく、ふらふらと迷い込んだのが、あの屋上。ネガティヴの極限から見るその景色は、すぐに塗り替えられた。窓辺にこの子の姿が見えたからだ。知ってはいただろうに、人は与えられた目的でないと自覚できないこともある。そして、最後の日が来る。〛 〚この子の両親が屋上に訪れた。だが、実は両親だけではなかったのだ。誰かさんはそのことに気付いていながら、そのことを封印した。何も挨拶を交わせばよかったという話ではない。視線を合わせばよかったという話でもない。いいかい、アカリ殿。この話で私が読み解いたことは、ただひとつ。――君は今もまだ自分自身を隔離している。自分の心を。畏れているものから。〛 「……ごめんなさい。私は……わたしは……」 〚これは勝手な"読み解き"さ。"思い込み"でもある。詩人とは妄執狂なのさ。そして拘りの強い画家でもある。君が一度描いたキャンバスを隠すために塗り替えようとするのは君の自由だ。けれど、蝶まで隔離して、それを見過ごしてしまうのはいただけない。鏡を通して自画像を描く。いずれ、そうしなければならない時が来るという話だったのさ〛 〚"星霜の庭"で君は一瞬、私と目が合ったね。アカリ殿、君は"視える"人間だ。だが、それから目を反らすあまり、いちばん大事な自分からも目を反らしていたのだろうよ。お気楽な話だ。だが、それもつい一秒前までの君だ。気づいたときから、人は変われる。〛 〚おい、お前さんも隠れてないで挨拶したらどうだ。〛  椅子の影から肩だけはみ出している女の子は、かぶりを振った。 〚なら、おうちに帰りなさい。ここからは大人の仕事の話をするんだから〛  女の子は少しためらうように、ぼやっとしていたが、間もなく消えた。 〚アカリ殿。残念がることはない。機会なら幾らでもある。ただ、どうか、このことを忘れるなかれ。〛 「忘れるなんて、……ありえない。"……………"ちゃんの」  アカリは思わず自分の唇に指をあてた。ほう。なるほど。《検閲》機能が働いたらしい。だが、それもいずれ解けるだろう。これから話すのは、そのために彼女たちに託す作業だ。 〚さて、説明は以上だ。WONDER・Sの諸君。私の説教はもうこれで充分さ。私は汚い人間だ。だから、蝶の一件をだしに使う。拒むことはできないよ。なんなら正式に雇ったっていい。私は、君たちのことが大好きだ。ぜひ、私とともに、大仕事を任されて欲しいな!〛 「ちょっと待ってよ。……そんな雰囲気じゃなくない?」 〚……そうか?分かった。ならば、塗り替えるまでだ。〛  私は上着のポケットに仕舞っていた小壜を取り出して、宙に放った。蝶の鱗粉……《アトモスフィア》だ。鱗粉が煙幕のように広がり、砂絵か、はたまた日本画に胡粉や金箔を散らすように、空間を彩った《アトモスフィア》が設けた穴が、同じ地表の異なる場所を映し出した。  そこに突っ立っていたのは、十三人の少女たち。私は陽気に手を振った。 〚彼女たちにも大仕事を任せるつもりなんだ。何やら煙臭い、キナ臭い、機械人形と魔女の類だが、一蓮托生、君らも仲良くしたまえ!〛  陽気な私とは裏腹に、WONDER・Sの四人は 13aker's DOZEN の出で立ちの迫力に気圧されているようで、少し身構えている。 「……大仕事って、なんなんですか?」  よく通る声だ。クルミ殿。 〚単純だが、簡単な仕事ではないよ。一言で言うならば……この世界を、守るんだ。〛  くるりと、私は舞踊めかして一回転した。傍から見れば、よれよれの衣服が洗濯機のなかで攪拌されているだけにしか見えないだろうが、これでも私なりの感情表現なのだ。  私は孤独を愛している。とはいえ、たまには大所帯で賑わうのも乙なものだろう。そもそも孤独を愛するということは、裏を返せば孤独を畏れていることの証左でもある。詩人なんてものは、端からみな寂しがり屋なのだよ。 〚ちょっとここで、待っていたまえ。〛  私は風に流されるように、丘の奥まったところに聳え立つ、キャバレー《CLUB FAUST》の入り口を叩いた。返事はない。  扉を少し開け、中を覗き込む。  また店そっちのけで、どこかへ散歩しに行ってしまったのだろうか。 〚登場人物が続々と集まってきているぞ。どうだい、君も、表に出てきたらどうだ?〛  私は耳を澄ました。おや、薬缶を火にかけてるな。  今宵のゲストは総じて酒を好みそうな者は少ない。茶を淹れる準備とはさすが気が利いている。 〚ふむ。私は紅茶がいいな。表で待ってるぞ。〛  返事はないが、聞こえているだろう。私は扉を閉めて、二つのグループのもとに舞い戻った。 《アトモスフィア》はすでに消え、そこに残っているのはWONDER・Sの四人と、13aker's DOZENの十三人。一堂に会した顔ぶれとしては、なかなかに壮観である。  もっとも、当の彼女たちはどこか気まずそうに互いの顔を見合わせていた。まあ、それも致し方あるまい。 〚やあやあ、こんな荒廃しきった辺鄙な土地の果てまで、ようこそお越しくださいました。今宵、皆様をお迎えいたしますは、この私め。詩を愛し、ことばを愛し、ついにはそれらへの偏執を病にまでこじらせてしまった――いわば"詩患い"にございます。もっとも、私ごときに固有名詞など不要。代名詞ひとつあれば充分でございます。どうぞ《詩人》とお呼びくださいませ。〛  帽子を押さえ、ずらりと並んだ一同を見渡す。 〚さて、今宵お集まりいただきました皆々様。実を申せば、もう一組ほどお立ち会いを願っていたのですが、生憎と連絡がつかずじまいでして。もし御存じの方がおられましたら、ぜひお導きいただきたい。"ジューシービーツ"という四人組なのですが。ええ……御存じない? 左様ですか。ならば結構。〛 〚どうやら皆様もまた、行先さえ知らされぬ旅へ連れ出されたようなお顔をしていらっしゃる。ならば、速やかに事の次第をご説明いたしましょう。……お!〛  そこで私は、わざとらしく《CLUB FAUST》の方を振り返った。 〚――と、その前に。こんな乾ききった土地までお呼び立てしてしまったのです。さぞ咽喉も渇いたことでしょう。茶の支度が整ったようですよ。〛  風に縺れる袖で《CLUB FAUST》を示す。  白い扉が開いて、"彼女"が現れた。 「遅くなって、ごめんなさい。皆様、お揃いかしら」 〚絶好のタイミングさ。ささ、一同、初顔合わせ。茶葉を愉しんで、ひと息ついて、それから互いに未来の話を致しましょう。〛  私は一歩退き、彼女が皆の前へ立つための場所を空けた。  そして、集まった十七人へ向き直る。 〚さて――改めまして、皆々様。ようこそ、"煉獄"へ。〛 〚私たちはたった二人だけの吟遊旅団・Siↄ|‹!S。作詩を務めますは私、《詩人》。そして、歌唱を務めますは七色の声を持つ……白堊のキャバレー《CLUB FAUST》の女主人。  ……名をドロビィと申します。以後、お見知りおきを。〛 ──────────────────── Siↄ|‹!S は 第6章 𝐃𝐑𝐄𝐀𝐌&𝐃𝐑𝐄𝐀𝐌 WONDER・S と 13ker's DOZEN は 最終章 で 帰ってくる。