【Aメロ】 手のひらの汗が引いた 境界線の内側で 息を殺して 乾いた街をただ漂っていた 交わされない視線と 痛みのない沈黙が 少しずつ 鏡のなかの輪郭を削っていく 【Bメロ】 雨の匂いがする軒先 隣に立った君は 逃げることもなく まっすぐに僕を覗き込んだ 「深いところまで光が届くみたい」と 誰も知らない色を そこで見つけてくれたんだ 【サビ】 君が笑うと 閉ざした世界が優しくほどけていった 醜いと信じてきた この姿さえ 許されるような気がしたんだ 満ちてくる潮騒が 砂のような心を満たしていく 【Aメロ】 季節が移ろい 隠すようになった素肌 理由も告げずに 遠ざかる君の足音 鉛色の空の下 海鳴りのする港町で 探していた 風に紛れる魔法の調べを 【Bメロ】 月明かりが照らし出す 崩れた防波堤 気高い装いの下で 静かに姿を変えてゆく君 その孤独な決意に 触れることができなくて 僕はただ 言葉を失って立ち尽くした 【サビ】 僕を暗闇からすくい上げた あの日の優しい言葉を 今度は僕が 君に手渡すはずだったのに どうしても 嘘だけはつけなかった 君がくれた「本当」を 汚したくなかったから 【Cメロ】 背を向けて歩き出す 足元で砕ける波の音 呼び止める声を どこかで祈っていたけれど 君は君の深く青い場所へ 僕は僕の冷たい場所へ 振り返らずに 帰るしかなかったんだ 【大サビ】 相変わらず世界は よそよそしく通り過ぎていくけれど 鏡のなかの自分から もう目は逸らさない 君が美しいと言ってくれた この眼差しの中には 今も確かに あの海の景色が広がっているから 【アウトロ】 遠い深い場所で 揺らめく影 どうか君が そこで微笑んでいますように 波の音に溶けた 祈りのような唄 手のひらに残る ただひとつの記憶