
別次元の終焉という絶望を越え、果てしないバルク宇宙の狭間を渡ってきた人魚たち。彼女たちが辿り着いた原始の地球は、まだ荒れ狂うマグマと熱気に包まれた、生命の気配すらない星だった。 彼女たちが流した悲しみの涙――「人魚の雫」は、灼熱の地表を潤し、やがて壮大な原始の海を創り出した。 その雫に秘められた高次元のエネルギーは、ただの水たまりに留まらず、有機物を結びつけ、最初の生命のゆりかごを起動させる触媒となった。 消えゆく世界で彼らが紡いだ記憶と文明の遺伝子は、時空を超えてこの新しい地球の深海へと深く刻み込まれていったのだった。 すべてが始まる前の「Zero(万物の始まり)」。 かつて人間たちが過ちを犯し、自らの手で星を次元の彼方へ葬り去るはるか昔、この地球のファースト・ステップは、ひと粒の切ない涙と、海からのギフトによって静かに幕を開けた――。

