Cyber Force 3rd Evolution楽曲募集中 詳しくはこちらのURLを参照 https://suno.com/song/b7a0861c-96d3-4526-800b-38f88dc81ce9 悪曲のプレイリストはこちら vol.1 https://suno.com/playlist/aed0b3e4-29c9-4333-9ed3-3d2475d4361b vol.2 https://suno.com/playlist/17410a4e-bb7f-4b25-8f77-c7c686404018 Cyber Force 3rd ストーリー https://suno.com/playlist/66e4584c-2bd3-47e6-91fb-f42f804c4642 前回はこちら https://suno.com/s/EndAv2VFMKGEdZUw ------------------------------------ 《KAMUI》 一筋の青が灯った。それは、赤い炎の中へ混ざった異物ではなかった。炎そのものが変わり始めている。 エルフレアの全身を包んでいた熱が、外へ噴き出すことをやめた。暴れ回っていた炎が、身体の輪郭へ沿うように収束していく。 右腕。左腕。胸部。脚部。 赤い光が細い線となり、黒いサイバー素体の上を走った。内部構造が再編成される。装甲形成。出力経路の変更。炎熱制御領域の拡張。 エルフレアの周囲で、白い光の破片が舞い上がる。それらは身体へ重なり、肩、胸、腰、脚を覆う装甲へと姿を変えていった。 白を基調とした、和装を思わせる外装。その隙間から覗く黒い素体。外装の縁には赤い線が走り、やがて静かな青へと変化していく。 髪が熱風に持ち上がる。だが、炎は揺れていない。完全に制御された青い火が、エルフレアの両腕へ集まっていた。 リオナ:「これが……」 その姿を見上げ、リオナが小さく息を吐く。 エルフレアは、自分の右手を開いた。掌の上に浮かぶ青い炎。熱はある。破壊力も、これまで以上に高い。それでも周囲の地面は焼けていなかった。炎のすぐ近くに立つリオナにも、その熱は届いていない。 必要な場所にしか、熱が存在していない。 エルフレア:「なるほどね」 CINDER:「何が変わった」 沈黙していたCINDERが、再び口を開く。三体の眷属が、その前へ並んだ。 CINDER:「色が変わっただけだ」 CINDER:「炎は炎」 CINDER:「破壊するための力に違いはない」 エルフレア:「そうね」 CINDER:「お前は何も変わっていない」 エルフレア:「それも半分は正解」 エルフレアは拳を握る。青い炎が、その指の隙間から静かに漏れた。 エルフレア:「アタシは今も怒ってる」 CINDER:「ならば同じだ」 エルフレア:「違うわ」 三体の眷属が動く。一体が正面。二体が左右へ展開。先ほどと同じ包囲。同じ攻撃。同じ動き。 正面の眷属が、両腕を刃のように伸ばす。エルフレアは一歩だけ踏み込んだ。大きく振りかぶることもない。右手を、軽く前へ突き出す。 青い火線が走った。眷属の胸部。その中心に存在する赤い火種だけを、青い炎が正確に貫く。 爆発は起きなかった。眷属の身体はその形を保ったまま、内側から崩れ落ちた。 左右から、残る二体が迫る。エルフレアは振り返らない。左手を開く。二本の青い炎が分かれ、それぞれ異なる軌道を描いた。 一方は眷属の脚部を焼き切る。もう一方は、伸びた腕の付け根だけを消し去る。二体が同時に体勢を崩した。 リオナが走る。右側の眷属へ拳を叩き込み、地面へ沈める。続けて身体を回転させ、左側の眷属を蹴り飛ばした。 エルフレアが指を鳴らす。倒れた二体の胸部で、青い炎が小さく弾けた。火種だけが消える。 三体の眷属は、動きを止めた。 CINDER:「再構成しろ」 地面に散った炭化物が赤く光る。だが、何も起こらない。炎は集まらない。身体も組み上がらない。 CINDER:「再構成しろ」 沈黙。 CINDER:「再構成しろ」 エルフレア:「無理よ」 CINDERの視線が、倒れた眷属へ向く。 エルフレア:「身体を壊したんじゃない」 エルフレア:「燃えるための場所だけを消したの」 CINDER:「そのような制御は不可能だ」 エルフレア:「出来てるものを不可能って言われても困るわね」 リオナ:「随分、余裕が出てきたじゃない」 エルフレア:「誰かさんが隣にいるからね」 リオナ:「それはどうも」 CINDERの装甲の隙間から、赤黒い炎が激しく噴き出す。周囲の熱が一気に上昇した。炭化した地面が割れる。 CINDER:「眷属を失った程度で、私を倒せると思うな」 CINDERの両腕が持ち上がる。倒れた三体の眷属から、残された炎が引き抜かれていく。赤い火がCINDERへ集まり、その身体へ吸収される。 黒い装甲が膨張する。肩部が大きく張り出し、腕が太く伸びる。背中から複数の炎柱が噴き上がった。三体を維持していた力を、すべて本体へ戻している。 CINDER:「炎は広がる」 CINDER:「炎は奪う」 CINDER:「炎は制御できない」 巨大化した腕が振り下ろされる。エルフレアとリオナが左右へ跳ぶ。地面が爆発し、赤黒い炎が円形に広がった。 リオナ:「出力が上がってる!」 エルフレア:「分かってる!」 CINDERが口を開く。内部に赤い光が集まり、巨大な炎の奔流が放たれた。 リオナが魔力障壁を展開する。衝突。赤黒い炎が障壁を押し込み、表面へ無数の亀裂が走る。 リオナ:「長くは持たないわよ!」 エルフレア:「三秒でいい!」 エルフレアが地面を蹴る。障壁の横から飛び出し、炎の奔流へ沿って前進する。熱が身体を包む。だが、エルフレアの周囲に浮かぶ青い炎が、襲いかかる熱だけを分解していく。 CINDER:「自ら炎の中へ入るか」 エルフレア:「アンタの炎でしょうが」 距離が縮まる。 CINDERが左腕を振るう。エルフレアはその下へ潜り込み、拳を腹部へ叩き込んだ。 青い炎が一点へ流れ込む。CINDERの背中から炎が噴き出した。それでも倒れない。 右腕が横薙ぎに迫る。エルフレアは後方へ跳び、紙一重で回避する。 CINDER:「弱い」 CINDER:「その程度の炎では、私を焼くことはできない」 エルフレア:「別に全部焼く必要ないでしょ」 CINDERの身体から、再び炎が噴き上がる。エルフレアはその流れを見ていた。 胸部。腹部。両腕。背部。 眷属から回収した炎が、複数の経路を通って全身へ循環している。一つの巨大な火種ではない。三体分の炎が、内部で別々に脈動している。 エルフレア:「見つけた」 CINDER:「何を」 エルフレアの姿が消える。 次の瞬間。CINDERの右側面に現れる。青い拳が、脇腹へ触れた。打撃ではない。触れただけ。 その一点から、細い青炎が内部へ侵入する。一つ目の炎の経路が途切れた。CINDERの右腕から力が抜ける。 CINDER:「何をした」 エルフレアは答えない。 今度は左側。左肩へ掌を当てる。二つ目の経路が焼き切られる。背中から噴き出していた炎柱の半分が消えた。 CINDERが後退する。初めて、自ら距離を取った。 CINDER:「止めろ」 エルフレア:「嫌よ」 CINDER:「それ以上近づくな」 エルフレア:「さっきまで散々煽ってたくせに」 CINDERは両腕を広げる。残された炎をすべて胸部へ集める。赤黒い光が膨張する。 エルフレアだけではない。周囲すべてを吹き飛ばすための出力。 リオナ:「エルフレア!」 エルフレア:「大丈夫!」 CINDER:「また巻き込むぞ」 その言葉に、エルフレアの足が一瞬だけ止まる。 CINDER:「そこにいる者も」 CINDER:「守ろうとする者も」 CINDER:「お前の炎で、すべて消える」 エルフレアは、背後を見なかった。リオナがいることは分かっている。逃げていないことも。自分を信じていることも。 エルフレア:「まだそれ言ってるの?」 CINDER:「お前は変わらない」 エルフレア:「そうね」 青い炎が、両拳へ集まる。 エルフレア:「過去は変わらない」 CINDERの胸部に集まった光が、限界へ達する。 エルフレア:「アタシがラクリアを傷つけたことも」 エルフレアが踏み込む。 CINDER:「来るな!」 エルフレア:「暴走したことも」 放たれる寸前の赤黒い炎。エルフレアはその中心へ右手を突き入れた。 青い光が弾ける。 CINDERの炎が止まった。胸部へ集められたエネルギーだけが、青い炎に包まれている。周囲へ広がらない。爆発しない。CINDERの内部だけで、静かに燃えている。 エルフレア:「全部消えない」 CINDER:「なぜだ」 エルフレア:「消すつもりもないからよ」 CINDER:「炎は破壊する」 エルフレア:「だから何?」 CINDER:「お前はまた同じことをする」 エルフレア:「しないわ」 CINDER:「なぜ言い切れる」 エルフレアは、CINDERの顔を見上げる。怒りは残っている。苛立ちも。恐怖も。それでも、そのすべてを抱えたまま笑った。 エルフレア:「次に何をするかは、アタシが決めるからよ」 右手を握る。 CINDERの胸部で、青い炎が収束した。赤黒い炎だけが消える。 装甲は残る。地面も。周囲の建造物も。背後にいるリオナも。 CINDERの存在を支えていた火種だけが、完全に焼き尽くされた。 CINDER:「炎が……炎を……」 エルフレア:「もういいわ」 CINDERの頭部へ、エルフレアの左手が触れる。 青い光。 一瞬。 CINDERの頭部が、音もなく崩れた。続いて胸部。両腕。脚部。黒い装甲が灰となり、その場へ落ちていく。 最後まで、炎が周囲へ燃え移ることはなかった。CINDERの身体は完全に崩れ、赤い光も消滅した。 静寂。 エルフレアの全身を覆っていた青い炎が、ゆっくりと弱まる。リオナが近づく。 リオナ:「終わった?」 エルフレア:「こいつはね」 その直後。周囲の空間が震えた。 一つ。二つ。三つ。 赤黒い亀裂とは異なる色の歪みが、次々と空中へ現れる。内部から、複数の異形が姿を見せ始める。 CINDERとは違う。眷属でもない。新たな高位ホコロビ。 リオナ:「休ませてはくれないみたいね」 エルフレア:「別にいいわよ」 エルフレアは前へ出る。白い装甲の隙間から、再び青い炎が灯った。 リオナ:「その身体、もう使いこなせるの?」 エルフレア:「今から覚える」 リオナ:「随分、雑ね」 エルフレア:「アタシらしいでしょ?」 新たなホコロビが地面へ降り立つ。エルフレアは拳を構えた。その隣へ、リオナが並ぶ。 エルフレア:「行くわよ、リオナ」 リオナ:「ええ」 青い炎と魔力が、同時に戦場を照らした。 ---つづく ------------------------------------------- [Verse 1] 消せない傷なら 消さなくていい 胸の奥でまだ 熱を持ってる 間違えたことも 傷つけたことも 全部この手が 覚えている 怖くないなんて 言えるわけない この炎がまた 誰かを焼くかもしれない それでも逃げて しまいたくはない 目を逸らすことだけは もうしたくない [Pre-Chorus] 怒りも 痛みも アタシを壊すためだけに ここにあるんじゃない この胸で燃えるなら 行き先くらい アタシが決める [Chorus] 燃えろ KAMUI この心ごと 誰かに決められた未来なんて 焼き尽くしてしまえ 叫べ KAMUI まだ終われない 怒りも涙も全部連れて アタシはアタシを選ぶ 何を燃やすかは この手が決める [Verse 2] 正しさだけでは 守れないもの 優しさだけでは 届かない場所 だからこの熱を 捨てたりしない 弱さも迷いも 抱いたままでいい 過去は変わらない それで構わない 変えたいのは 次に踏み出す一歩 誰かの言葉で アタシの明日まで 決めさせたりはしない [Pre-Chorus] 憎しみも 後悔も アタシを縛る鎖じゃない この胸で燃えるなら その意味くらい アタシが決める [Chorus] 燃えろ KAMUI 蒼く研ぎ澄ませ 暴れるだけの炎じゃない 守るためにも燃えられる 響け KAMUI この鼓動ごと 震える心も隠さない それでも前へ進む 何を守るかは この手が決める [Bridge] 忘れない 許さない 逃げもしない あの日の アタシ も 今の アタシ も どちらもアタシだ だからもう 誰かの言葉で 自分を恐れたりしない 熱くていい 激しくていい ただひとつ この炎のぬしは アタシだ [Final Chorus] 燃えろ KAMUI もっと強く 赤も蒼も この胸の中 ひとつの炎になる 叫べ KAMUI 未来へ向かえ 傷も怒りも抱きしめたまま アタシはここに立ってる 何を燃やすかも 何を守るかも 誰を信じるかも どこへ進むかも 全部 アタシが決める KAMUI この炎は アタシのもの