
ヤンヤン わたしは 満たされていた 最後の一本まで ちゃんと食べきった 細い棒は もうどこにもなく 茶色い海も 底を見せていた 幸せだった そのはずだった だけど 白いトレーの隅で あなたたちは まだ光っていた チョコスプレー チョコスプレー 小さな星たち わたしは あなたたちを 残してしまった 前半で はしゃぎすぎたの 一本目に つけすぎたの 二本目にも 夢を見すぎたの 三本目のころには もう戻れなかった チョコはまだあった だけど あなたをまとわせるための 細い未来が 足りなかった ヤンヤン ヤンヤン ごめんね あなたたちは 余ったんじゃない わたしが 余らせたの ヤンヤン ヤンヤン 甘いまま きらきらしたまま 白いトレーの隅で 行き場をなくしていた 救いたかった どうにかして 最後まで 連れていきたかった 指で集めようとした けれど 爪のすきまに 入りこんだあなたたちは 急に 現実になった トレーを 傾けてもみた さらさらと流れて 机に少しこぼれた 拾おうとした だけど ほこりとひとつになったあなたを もう あなたと呼べなかった ヤンヤン ヤンヤン ごめんね わたしの救済は いつも遅すぎる ヤンヤン ヤンヤン 捨てるには 甘すぎた 食べるには 遅すぎた 救うには わたしが 不器用すぎた まだ方法は あると思った そのまま口に 流しこむ手もあったわ でも女子としてどうかとも まだ思えたの ストローを 持ってきた 細くて まっすぐで あなたたちを 吸い上げるためだけに 生まれてきたみたいだった わたしは 息を吸った 強く 強く 甘い粒が 喉に触れた そして むせたわ ヤンヤン ヤンヤン あなたたちを救おうとして わたしは 咳きこんだ 涙が出た これは悲しみなのか 気道の反射なのか もう わからなかった ヤンヤン ヤンヤン あなたたちは 最後まで甘かった 捨てるには 眩しすぎた 食べるには 遅すぎた だから今日は さよなら 小さな星たち 甘い罪たち 白いトレーの隅で 最後まで輝いていた あなたたちへ さよなら さよなら チョコスプレー

