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≋ 叫んでるのは空のほう 〜Not Me, The Sky〜 ≋

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V5.5

耳を塞いだ 塞いだ内側まで刺さる 空のほうが さっきからずっと鳴ってる こっちじゃない 鳴ってるのは景色のほう 手のひら越しに それでもはいってくる 橋の途中で足が止まった ただ止まった 先を行く二人は振り返らない 止まらない 手すりはまっすぐ まっすぐのまま遠ざかる まっすぐじゃないものが こっちに向かってくる 夕方が赤い 赤すぎる赤 熱を持った赤 きれいだと思った 思った次に音がきた 出どころを探して どこにも見つからなくて どこにもないから どこもかしこも出どころだった 息を吸って 吐かないまま やむのを待って 待って 待って やまない 空が鳴ってる 水が鳴ってる 地面まで鳴ってる こっちは黙ってる 黙ったまま突っ立ってる 塞いだ手の中で 自分の音が大きくなる それに気づいて よけいに逃げ場がなくなった 後ろの二人は おなじ空の下 おなじ橋の上 なんにも聞こえてない顔で 歩いていく おかしいのはどっちだろう たぶんどっちもおかしくない おなじ場所に立って 違うものを聞いてる うねりがくる 空から水へ 水から足へ かたちがほどけて 景色とおなじかたちになる 声を出そうとして 出さなかった 出したら 混ざってしまうから 息を止めて 数えないまま やむのを待って 待って 待って やっぱりやまない 空が鳴ってる 水が鳴ってる 手のひらまで鳴ってる こっちは黙ってる 黙ったまま突っ立ってる 塞いだ手の中で 自分の音が近くなる どこにも 持っていけない まぶたが重い 音が遠い 遠いのに近い 眠りの入り口みたいに 境目がぼやける このまま沈んでいけたら たぶん わるくない 叫んでる 叫んでるのは空のほう ずっと ずっと やまなかった 塞いでも 塞がなくても おなじ おなじだって やっとわかった まだ鳴ってる これからも鳴ってる 歩き出した 二人はもう見えない 鳴ったまま 橋を渡っていく やまない音の まんなかを 🎼世界観散文 橋の途中で足が止まった。夕方だった。連れは先を歩いていて、こっちを振り返らない。 空が急に赤くなった。血の色というより、熱を持った赤だ。その赤が下りてきて水に届いて、そこから何かが伸びてきた。音だった。誰かが叫んでいるのではなく、景色そのものが鳴っていた。 耳を塞いだ。手のひらを強く押しつけて、それでも入ってくる。塞ぐと自分の中の音のほうが大きくなることに気づいて、よけいに動けなくなった。 後ろの二人は普通に歩いている。同じ空の下、同じ橋の上で、何も聞こえていない顔をしている。手すりの線はまっすぐで、まっすぐなまま遠ざかっていく。 自分の形が、空のうねりと同じ形にほどけはじめる。声を出そうとして、出さなかった。出したら、あの音と混ざってしまう。 Produced by 知床リーフ Co-produced by 辻川ミキ / 小路ソウ Arranged by 唐沢ユメジ Lyrics by エズラ・カーター Sound Design by 南雲リン Vocal by 氷室たえ