『うまれたぞ』 『うまれたぞ』 『夜と昼、陰と陽、二つの力を持った女神が生まれたぞ』 『これで光のお方も一安心といったところだろう』 『いーやまだまだ』 『まだ足りぬ』 『まだ……』 『聖戦までに……』 神の国を飛んでいた風の神ウィルは、風の精霊達の声を聞いたような気がした。 「何か言ったか?」 ウィルは周りを見たが、声はもう聞こえなかった。 ラーズとオルガ、ティラは新しく生まれた女の子を連れて雲の上の神殿に行った。すでに神誕生を知っていたヒルデリアは、女の子を見て「ルチア」と名付けている。 「ルチアか、かわいい名前だな」 オルガはうれしそうだ。ヒルデリアはしゃがんでルチアを見ていた。ルチアものぞきこむようにヒルデリアを見ている。 「本当に面白い子だのう。そしてかわいらしい。キュリアと比べたらどうだろう。少し小さいかのう。身長はネルと同じくらいか」 人間でいえば、生まれてから2、30年経ったころ、という大きさである。ティラはルチアよりも少し年上といった感じだった。 ガーベラの子供、女の子の中では、今一番背が高いのがグレンの子供ライサ、次がキュリアとルティアナ、そしてネル、イオナとユリアナの順である。この子達に比べると、サーラはまだまだ小さい。 「すごい神器だな。どうやって使うんだろう?」 ラーズはルチアの神器を持ってみていた。黒っぽい石がついた金の錫杖である。ラーズはその石に顔を近づけた。ルチアの瞳のように、その石も角度によって色が変わっている。錫杖も2メートルほどの長さがある。 「この石はなんだ? あの子の瞳に似てるな」 「さあ、なんだろうな」 アシュランはにやにやしていた。 「知ってるんだろ。教えろよ」 「いや、知らん」 「おいで、かわいい服を着ましょう」 ヒルデリアは手をつないでルチアを連れて行った。 「なあ、どうやって3人でしたんだ?」 ヒルデリアがいなくなったところで、アシュランが二人に聞いた。 「それは秘密」 とラーズ。 「教えろ。オルガ、お前は真面目な顔をして全く……」 アシュランはぶつぶつ言っている。オルガは頬を引きつらせ、「勝手な想像をするな」と言った。ティラはちょっといづらそうである。 神の国に鐘の音が鳴り響いた。