Song Cover Image

星図保管所

静かな廊下、紙と金属の匂いに 縫いつけられて時間は止まったまま。 馴染まない微熱のような気だるさと 命に刺さった誰かの声。 薄灯の下。 此処は星図保管所。 砕いた星座の光の粉を 踏む度に未来の残骸が纏わりついて、 並んだ瓶に触れた指が 褪せた航路図を辿るように 微かに震える。 此処は星図保管所。 口に出来ない日々の痛み抱えたまま 立ち止まって、 心だけが前へと揺れた時、 至る場所が此処だと知った。 手にする度に重さを増す未来を いっそ手放して。 選ばなければ。 選ばれなければ。 それでも明ける夜と、 昇ってしまう陽が明々と照らし、 何度も僕を今日へと戻すなら 向き合うのだ。 此処は星図保管所。 棚の隅、まだ形を保ったまま 忘れられた誰かの航路瓶。 曇った硝子、薄い罅の向こうで 細い光線がふっ、と脈打ち、 また気付いてしまう。 此処は星図保管所。 目を伏す替わりに血溜まってゆく未来を、 いっそ引き連れて 進まなければ。 進められなければ。 恐れが胸を刺すたびに 失いたくない物を知って、 優しいその残酷が 明日も続いてゆくのだ。 此処は星図保管所。 拾わずにいられなかったものが 心の底で静かに犇めいて、 その重さが迷いの影さえ押し潰す。 繋いだ手、温度と痛みが 行く先をそっと照らして、 離すにはあまりにも優しすぎた。 踏みつけてきた星の欠片たちが 気付かぬうち形を帯びていき、 星図の余白を埋めていく。 やがて、もう戻れない場所を示して、 それが自身の存在の証拠として残るのだ。 此処は星図保管所。 抱えている重さの中に あとどれだけの辞めない理由。 選ばなければ。 選ばれなくとも。 そうして終わる今日は 星図の余白に明々と記し、 古びた棚の隙間へと戻したなら、 向き合うのだ。 この部屋を後にして。 静かな廊下、紙と金属の匂いに 縫いつけられて時間は止まったまま。 寄せ集めた痛みと願いで線を結び 命に刺さった自分の声。 薄灯の下。 此処は星図保管所。