水面の裏側 静かな青が ほどけて落ちる 名前を忘れた鳥が 胸の奥を横切る 触れていないのに 指先だけが覚えている 遠い雨の続きみたいな 光の欠片 ⸻ さらら さらら 見えない川の呼吸 まだ言葉にならない 種子が まばたきの裏で発光する ほろろ ほろろ 白い輪郭の向こう側 誰も知らない朝が折り重なる ⸻ 窓辺に置いた影が 少しずつ季節を変える 閉じたままの花は 何を待っているのだろう ほどけた夢の糸を 風が静かに編み直す 振り返るたび 違う空がそこにある ⸻ まどろ まどろ 透明な舟の軌跡 触れた記憶は水に還り かなた かなた 名前のない方角へ 淡い灯りが流れ込む ⸻ 夜を渡る魚たち 銀色の呼吸 遠ざかるほど近づいてくる 淡い灯り 掌の中で回る 小さな円環 終わりに見えた場所から また歌が生まれる ⸻ さらら さらら 見えない扉の内側 まだ誰も知らない景色へ ほろろ ほろろ 白い輪郭の向こう側 新しい風が眠る