
Archive Static | アーカイブ・スタティック
また アーカイブの中で夜を過ごす 画面には まだ君の名前が灯ってる 再生すれば何が出てくるか わかってるのに また 押してしまう 歌はあの日のまま そこで待っている 写真はまだ 君の名前の形を覚えてる 記憶と雨を抜けて 信号を辿る もう二度と聴けないものを また聴こうとしてる 言葉が来る前から 全部わかってる ひとつひとつの間さえ どこかに残ってる それでも ここにいるほど 部屋は冷たくなっていく 消えていった誰かを まだ探しながら アーカイブの中で 僕らは静かに薄れていく 君の声は残ってる でも あの瞬間はもう過ぎた 冷たいネオンの霞の中 何度もまた再生して 終わりのない日々の向こうへ まだ君を追いかけてる 君の言葉は揺らがない データは正しく残ってる でも 君が僕に届いた あの一瞬だけが 青の中に消えた 途中に走るグリッチは 細いワイヤーみたいに切り裂いて 記憶だけを残しながら その火を奪っていく 君が何を伝えたかったのか 今でもわかってる 信号が煙みたいに ほどけて消えたあとでも 言葉の輪郭だけは まだ頭の中に残ってる 僕の知っていた君が 消えてしまったあとも アーカイブの中で 僕らは静かに薄れていく 君の声は残ってる でも ぬくもりはもう遠い 何度も再生して すべての層が滲むまで システムが保存できない君を まだ追いかけてる ここにいて... もう少しだけ... 信号が壊れていく... 信号が— まだわかってる... まだわかってる... セーブポイントをロードした... 部屋は同じに見える... 言葉が戻ってくる... どの行も知ってる... でも 何かが足りない... 脈動と脈動のあいだ 信号が細くなる場所で 君のぬくもりを思い出す 残された形じゃなく 静電ノイズは正直で 何が残ったのかを見せてくれる 繋がりはデータじゃなかった それは痛みだった アーカイブは 僕らが交わしたすべての言葉を残せる でも 君が目を覚ましていたときの あの感覚までは残せない ファイルは年月に触れられず 完璧なまま残ってる その一方で僕は ここに沈んだ意味を抱えてる アーカイブは開いてる 信号は確かに残ってる 僕が抱えていたのは このノイズじゃなかった 記録は残った 記憶もまだ消えない それでも僕はずっと それ以上の何かを探してた グリッチは消えてない 亀裂はまだ歌ってる 失ったものの形の中に 残り続けるものもある でも もう古いフレームをひとつずつ 振り返るのはやめた すべての君を 同じまま留めようとするのも 失ったものの下で まだ熾火は燃えている 変わらないままじゃない 傷つかないままでもない 代償が消えたわけでもない 美しさは 止めておくことじゃなかった それを前へ運び続けることだった— アーカイブの中で 僕らは薄れていく それでも 気持ちは残ってる 窓を打つ雨 君の名前に残るぬくもり 年月が遠ざかっていっても 僕はまた再生する 君が心に残した跡を 今も抱えたまま アーカイブは開いてる... 信号は残ってる... 世界は先へ進んだ... それでも この気持ちは消えない... アーカイブは開いてる... 信号は残ってる... あの熾火は... まだあたたかい...

