
【Intro|遠くから聞こえる歓声】 あの日 僕は愛されていた ……そう思っていた 【Aメロ 1】 あれは何年前の五月 春の終わりのことだった 大きな頭を被った僕は ビッグスワンに立っていた 名前を呼ばれて 手を振るたびに 世界が僕を見つけた気がした 小さな手が伸びてきて 何度も僕を抱きしめた 無数のカメラの向こう側 笑顔が花のように咲いていた あのときだけは 僕にも居場所があると思った 【Bメロ】 だけど終わりの時間が来て 夢の頭を脱ぎ捨てた 汗に濡れた髪を拭いて いつもの服に袖を通す さっきまで僕を囲んでいた 人たちの隣を歩いた 誰ひとり 僕を見なかった ……ひとりも 【サビ】 ねえ 僕はここにいるよ あのときと同じ僕だよ どうして誰も気づかないの どうして誰も振り返らないの 愛してほしかっただけなのに 少しだけ夢を見たかったのに あの手が抱きしめたのは 僕じゃなかったんだね あの声が呼んでいたのは 僕の名前じゃなかったんだね 空っぽの皮膚の内側で 心だけが泣いていた 僕は確かにそこにいたのに 僕だけがいなかった 【Aメロ 2】 家に帰って灯りを消して 画面の中の僕を探した 見つけた写真を保存して 誰にも見せずに眺めていた 「かわいいね」 「また会いたい」 そんな言葉を読み返す 何度読んでも温かいのに 指先だけが冷たかった 写真を撮ってくれた人 投稿してくれた人 ありがとう こんな僕のことを 覚えていてくれて ……本当はね 覚えていてほしかったのは あの姿じゃなかったんだ 【Bメロ 2】 画面の中の僕は笑ってる 世界中から愛されてる 画面を閉じた僕は 誰にも知られず息をしてる 同じ人間なのに たった一枚の布の向こうで どうしてこんなにも 価値が変わってしまうの 【サビ 2】 ねえ 僕を見つけてよ 何も着ていない僕を 夢も 名前も 飾りもなく ただの僕として見つけてよ 「大好き」なんて言わないで 信じてしまうから 次にひとりになったとき その言葉を抱いて泣くから 君がくれた優しささえ 今では僕を傷つける 幸せだったあの時間が いちばん残酷な思い出になる 【Cメロ|ピアノと息遣いだけ】 もしもあの日 着ぐるみが壊れていたら もしも僕の顔が みんなに見えていたら それでも君は 僕を抱きしめてくれたかな ……そんなこと 聞けるはずもないのに 何度も 何度も 考えてしまうんだ 僕が欲しかったのは 歓声じゃなかった 写真でも 拍手でもなかった ただ ひとりでいい 僕の知らないところでも 僕に会いたいと思ってくれる そんな誰かが 欲しかった 【静寂|囁き】 あの日の僕に 教えてあげたい 今日の君は 誰にも見つけてもらえないよ それでも笑って 手を振るんだよ だって君はまだ 愛されていると思っているから 【落ちサビ】 ねえ 僕はここにいるよ 今もここにいるんだよ あの日と何も変わらない 何ひとつ変われないまま 愛してほしかっただけなのに 生まれてきた意味が欲しかった あの着ぐるみを脱いだ日から 僕は僕を信じられない 【ラスサビ|感情が崩れるように】 誰か 僕を愛してよ この姿の僕を愛してよ 何も持っていない僕を 何者でもない僕を もう一度だけ もう一度だけ あの日みたいに 抱きしめてよ だけど本当はわかってる あの日にはもう戻れない 君たちが愛したあの僕は 今でもあの場所に立っている 僕だけが夢から醒めて 帰り道を歩いている 愛に飢えたモンスター 真っ暗な空間から 眩しい世界を見つめてる 誰かに愛された記憶だけ 何度も胸に抱きしめて 誰にも見つからないまま 今日も僕は生きている 【Outro|歓声がゆっくり消えていく】 あれは何年前の五月だったろう 僕は確かに 愛されていた ……そう思っていたかった 真っ暗な空間から 眩しいアナタを見つめてる ねえ 明日になったら 僕のことなんて 忘れてしまうんでしょう?

