
廊下の端で 白い息だけが 名を呼ぶ 返事はマフラー 言葉は凍ったまま 掲示板の角 保健室の灯りが揺れて ポケットの中で 鼓動だけ数えてる 上手さじゃないんだ **角度(むき)**の問題 ずれてたのは 温度の行き先 目を合わせずに 君がうなずく 音のない合図が 胸に落ちる 閾値(しきいち)を越える その頷きで 氷みたいな言葉が 水に変わる 沈黙は敵じゃない いまは味方だ 喉の奥で眠った声が 目を覚ます 「休む勇気」という 小さな紙切れ 読み飛ばしてた 昨日の自分 「聞いてるよ」だけ 音量は小さいけれど 世界の明度が ひとつ上がる 答えは急がない **拍(はく)**をひとつ 呼吸のタイミング そっと揃えよう ビーカーの縁で震える水のように 揺れごと抱きしめて 形にする 閾値を越える その頷きで 震えごと「大丈夫」へ 変換できる 沈黙は橋になる 言葉未満で 手のひらまで伝わる熱が 導(しるべ)になる 正しさよりも あなたの痛点(いたみ) 触れない距離で そっと守る 「聞いてるよ」——それだけで 心 × エネルギーが 回路を満たす 閾値を越えた この頷きで 氷みたいな言葉が 歌に変わる 沈黙は味方だ 寄り添うリズム 胸のメトロノームが 強くなる エネシン——心 × エネルギーで ここから始まる 白い息がほどけて 音になる 返事は小さく でも届いている

