「シルフ、こちらへ来なさい」 ラダマンテュスの命令は絶対だ 観測の淵を離れ 白亜の審問室へ それが私に課せられた 冷たい職務だった アザゼルの言った通りだ こいつには 牙もなければ毒もない ただ 消え入りそうな存在が そこに 震えているだけ 差し出した私の手には 血と鉄の匂いがする けれど そっと重ねられたその指は 驚くほどに 小さくて 驚くほどに 温かい 「怖がらなくていい、ゆっくりと」 どこまでも続く階段 私の歩幅は いつもの半分 重い鎧の音だけが 静かに響く 私のてのひらに 伝わる鼓動 この 頼りない輪郭は 守られるべき存在なのだと 私の魂が ようやく 気付き始めていた -------------------- 交響詩「ー」シリーズ https://suno.com/playlist/2b1d48d4-5c42-48da-9614-ee36dbe35a05


