
閉店後のスーパー
[Intro] 午後九時。 最後のお客さんが レジを通る 「ありがとうございました」 自動ドアが ひらいて 閉じる 店内に 少しだけ 冷蔵ケースの音が 大きくなる [Verse 1] 入口のカゴを 重ねていく ひとつ ふたつ 少し曲がったのを 手で直す 惣菜売り場には 半額のシールが ふたつ残ってる コロッケ ひとつ 焼きそば ひとつ 誰にも選ばれなかった 今日の夜 「これ、どうします?」 「下げといてー」 奥から 声が返る [Pre-Chorus] レジの灯りが ひとつ消える また ひとつ消える さっきまで 人が歩いてた床を モップが ゆっくり通ってく [Chorus] 閉店後の スーパーで 今日が少しずつ 片づいていく カゴを戻して 床を拭いて 明日の値札を 並べてく 誰もいない レジの前 冷蔵ケースは まだ鳴ってる 今日が終わっても 店の中では 明日の準備が 始まってる [Verse 2] サービスカウンター 忘れ物の傘 一本 透明のビニールに 名前はない 「今日、雨すごかったね」 段ボールを たたみながら 「明日も らしいですよ」 「ほんと?」 「天気予報では」 「洗濯物 乾かんなあ」 ガムテープを ひとつ切る それで会話は 終わってく [Pre-Chorus] せいか売り場の 空いた箱 牛乳棚の 白い隙間 売れたもの 残ったもの 紙に数字を 書いていく 遠くで誰かが 「電気 落としまーす」 半分だけ 店が暗くなる [Chorus] 閉店後の スーパーで 今日が少しずつ 遠くなる 値札を替えて 箱を運んで 明日の棚を 作ってく 昼には見えない 店の顔 足音だけが よく響く 誰も見てない この時間にも 明日は静かに 近づいてる [Bridge] シャッターが おりてくる ガラガラ ガラガラ 最後に ガン 音が止まる バックヤード エプロンを外す 名札を取って ロッカーへ スマホを見る 午後十時十二分 「お先です」 「お疲れさまでした」 「また明日」 「はーい」 [Final Chorus] 閉店後の スーパーから ひとり またひとり 帰ってく 今日の話は 持ち帰らず 制服だけを 置いていく 売れたものも 残ったものも 今夜はここで 眠ってる 明日の朝には また扉が開く それまでは 少しだけ 静かな店 [Outro] 従業員口を 出る 雨は 止んでいる 駐車場に 白い線 水たまりを ひとつ避ける 「お疲れさまでした」 「お疲れさま」 別々の方へ 歩いていく 駐車場の向こう 信号が 赤から 青に変わる

