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A Sanctioned President -或る珈琲屋の悲劇-

V5.5

[Intro – News Flash] 臨時ニュースを申し上げます 米国政府は本日、新たな制裁対象として UCCのPresidentを指定しました ……UCC? [Verse 1] 朝の会議で秘書が来て 青ざめた顔で紙を出す 「社長、アメリカ政府から 資産を凍結されました」 戦争犯罪に関与した 覚えは一滴もありません あるのは豆の焙煎と 売上目標の責任だけ オランダの法廷なんて知らない ハーグへ行ったことすらない 昨日いたのは神戸本社 午後は新商品の試飲会 [Pre-Chorus] I・C・C! International Criminal Court! U・C・C! 上島珈琲株式会社! アルファベットが一字も合ってない どうしてこうなった、Washington! [Chorus] ICCじゃない! UCC! 裁くのは豆の出来だけです Presidentには違いないけど 判決じゃなく決裁をしています ICCじゃない! UCC! 手にしているのは逮捕状じゃない 朝の目覚めを届けるための 香り豊かなコーヒーだ! 制裁解除を求めます その前に一杯いかがです? [Verse 2] 海外口座は凍結され 米国出張も取りやめに 空港職員、画面を見つめ 缶コーヒー見つけて首かしげる 「国際司法の権威ですか?」 「いえ、コーヒーの会社です」 「容疑を認めるのですか?」 「深煎りなのは認めます」 豆は中南米から来るけれど 秘密工作員ではありません ブレンド比率は機密でも 国家機密じゃありません [Pre-Chorus] 罪状は何だ? 不当な焙煎? 証拠は何だ? 香りの拡散? ブラックリストに載せるなら せめてブラック無糖にしてくれ! [Chorus] ICCじゃない! UCC! 人道犯罪などしてません 苦みと酸味のバランスを 真面目に研究してるだけ ICCじゃない! UCC! 手にしているのは木槌じゃない ミルクと砂糖を混ぜるための 小さなマドラーだけなんだ! 制裁解除を求めます ホットかアイスを選べます! [Bridge] ホワイトハウスへ抗議文 厳重注意の赤い文字 返ってきたのは短い返事 “We regret the inconvenience.” 遺憾で済むなら制裁いらない 凍った資産を解凍しろ アイスコーヒーは冷たくていいが 会社の口座まで冷やすなよ 総理も会見で眉を寄せ 世界へ遺憾の意を表明 「日本のプレゼンスが失われ 珈琲市場は危機に瀕する」 そこまで大きな話なのか 社長自身も戸惑っている ただし記者には抜かりなく 新商品サンプルを配っている [Breakdown – Call and Response] 裁判所か? ——珈琲屋! 所長なのか? ——社長です! 容疑は何だ? ——濃いめです! 武器はあるか? ——ドリッパー! 制裁するぞ! ——なぜなんだ! 凍結するぞ! ——豆は冷凍保存もできます! [Final Chorus] ICCじゃない! UCC! 世界よ、スペルをよく見てくれ 法の番人じゃありません 朝の眠気の敵なんです ICCじゃない! UCC! 裁くより先に確かめて 三文字だから似ているなんて そんな理由で社長を止めるな! ICCじゃない! UCC! Presidentにも色々いる 正義を守る人もいれば コーヒーの香りを守る人もいる 制裁解除の日が来たら 記念ブレンドを発売しよう その名も堂々—— 「プレジデント・エンバーゴ」! [Outro – Commercial Voice] 国境を越えて 誤解も越えて 世界をひとつにする一杯 UCC—— International Coffee Company…… ……いや、それもICCになるやないか!