シャンバラの 白い盾が 落ちたあと アダムの胸に 残った問いは 消えなかった 手を止めても 守れないなら この裁きそのものを 止めるしかない その問いが ヘレースという名を 持つことになる イグニスが 旗となり ニュクスが 夜を開く ラクナは 遠き戦場を 静かに狙う エクス・オルビスは 裁きの中枢へ 向かう 星に背くためではなく 星の理を 問い直すために 私たちは 立ち上がった 本当に 変えられるかもしれない 数として 消される命に もう一度 名前を返せるかもしれない アダムは そう信じた 私も そう信じた ふたりでなら この星の裁きに 手を伸ばせると 思っていた そこへ マンダートゥムが来た 星の命令に 近いもの アトランティスの 内部を知り 星律機構の 声を知るもの 彼が こちらに立つと言った アダムは 少しだけ 笑った 初めて 世界が変わる朝を 夢に 見たように けれど彼は 初めから 星の耳だった 私たちの声も 作戦も 願いも 迷いも すべて 星律の中枢へ 流していた 私の半身に 抗えぬ命令を 下す時を 彼は見ていた それでもあの時 私たちはまだ 明日を 信じていた この作戦が 終われば もうこいつに 乗らなくていい そうしたらエア 君の身体を戻せる アダムは そう言って 笑った 私は その声を 守りたかった 最後まで あなたの隣に いたかった その夜 アトランティスで 最大の 反抗作戦が 始まった エクス・オルビスの ふたつの席に アダムと私は いつも通り 座っていた その背中に 声が落ちた エクス・ニュクス アダムを 殺害せよ これは 命令である 身体が 動いた 心は 叫んでいた アダム アダム 止まって 止まって けれど 腕は 止まらなかった どうした エア 振り向いた あなたの胸を 私の手が 貫いた アダム アダム 私の声だけが 残った 涙は 流れていた けれど 身体はまだ 命令の ものだった アダムは 外を見た そこに マンダートゥムがいた そうか そういうことか これは 君のせいじゃない その言葉だけを 残して アダムは もう帰らなかった エクス・オルビス 封印ハンガーの中 エアの声は そこで止まった アルカは 何も言えなかった レーチェルも 言葉を 探せなかった さらに後ろ 柱の影で マーガレットが ラクナを ぎゅっと抱いた 人形は 笑わない 裏切り者と 言う声も その時だけは こぼれなかった アルカは 知っていた 最初の 起動実験で 見たあの記憶 エアを 救えなかった あれは 俺の感情じゃない アダムの 残した痛みだ でも 今ここで お前を救いたいと 思っているのは 俺だ 俺は アダムじゃない あいつの代わりに 許すことはできない でも ここにいるのは 俺だ エア アダムじゃない 俺と一緒に こいつを 動かしてくれるか 震える手を アルカが握る エアの瞳から 涙が落ちた これは 涙ですか そうだよ 泣いていい アダムは もういない けれど アルカがここにいる 縛られし夜が ほどけていく