何回目の春だ ©2026 nobotaro 何回目の 春だ 数えるのも やめた 桜なんて 見なくても 季節は 勝手に 過ぎていく 昔描いた 未来とは ずいぶん違う 場所にいる それでも 朝になればまた いつものドアを 開けている 諦めた 夢もある 忘れた約束もある 失くしたものを 数えたら 両手じゃ全然足りないな でもさ もう 一回くらい 始めたって いいだろう 今さらなんて 言葉に 人生を決めさせるなよ もう 一回くらい 馬鹿に なっていいだろう 終わったふりしてるだけで 僕らは まだ終わってない 友達は親になって あいつは家を買ったらしい 僕ら相変わらずここで 何になりたいか考えてる 笑って「よかったな」と 言ったあと 一人になると少し痛い 幸せってやつには 順番でもあるのかい 誰かが先に着いたからって 僕ら負けたわけじゃないだろう だから もう 一回くらい 始めたって いいだろう 昨日までの自分だって 無駄にはならないだろう もう 一回くらい 夢を見たっていいだろう 誰かの時計で 生きなくていい 僕らは まだ生きている 少年の僕も 夢見てた僕も 夢破れた僕も 逃げ出した僕も 全部ここまで 連れてきたんだ だったら一人も 置いていくなよ もう 一回くらい 始めたっていいだろう 僕らは まだ終わってない


