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Arca(アルカ)【新・異世界で始める二人旅06】

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V5.5

[Intro] [Verse 1] 砕けた呼吸 滲んだ景色 それでもこの足は 止まれない 傷つくたびに 深くなる痛み その奥で 鼓動が叫んだ [Pre-Chorus] 終わりを拒むように 重なる眼差し あと一度だけ すべてをかけて [Chorus] 遥か彼方へ この手を伸ばして ほどけた運命を 結び直すんだ たとえ体が 壊れてしまっても 君と選んだ 未来を離さない [Verse 2] かすかな兆しを たどるように まだ来ない瞬間が 見えていた 言葉にならない その痛みさえ 今は進むための しるしになる [Pre-Chorus] 限られた時の中 ひとつになる願い ひび割れた世界へ 踏み出したんだ [Drop] Break through the night! Strike into the light! 凍りついた時を 今打ち砕け No turning back! We cross the line! ひとつの傷へ すべてを重ねて Break through the night! Strike into the light! [Verse 3] 終わったはずなのに 名前もない声が 僕を呼ぶ 見えない糸に 導かれるように 歩み出す [Pre-Chorus] 眠り続けた光 閉ざされた時の扉 触れた指先から 世界が目を覚ます [Bridge] Why do you call my name? Why does the light remain? 知らないはずなのに なぜか懐かしくて Across a thousand years Beyond the silent tears 忘れられた願いが 今響きだす [Last Chorus] 遥か彼方で 夜明けが生まれる 途切れた運命が また動き始める 僕らがここへ たどり着いた意味を まだ知らなくても 光は導く Open the gate Awaken the dawn その名を 今呼ぶ Arca [Post-Chorus] Arca Light of the dawn Arca Guide us beyond [Outro] 呼び声は 静かに続く 新しい世界が 今開かれる 【Episode Story】 【第6話・Arca(アルカ)】 巫女の氷魔法が災印獣グラウガの脚を止め、主人公の剣が敵の胸元を深く切り裂いた。 「グギャアアァァッ!!」 グラウガが苦痛の声を上げる。胸元の傷から黒い瘴気が噴き出し、巨大な身体が片膝をついた。主人公はすぐに距離を取り、剣を構え直す。 「効いた……!」 巫女も杖を握り締めた。 「ですが、まだ倒れていません!」 グラウガは地面へ爪を突き立て、ゆっくりと立ち上がる。 「グルルルルル……。」 喉の奥から響く低い唸り声。赤い瞳が、主人公を真っすぐに捉える。主人公の額を汗が伝った。 「くそ……こんなにも強いのかよ。」 グラウガが地面を強く蹴る。 「ガァァァッ!!」 一瞬で距離を詰め、巨大な爪を横薙ぎに振るう。 「来ます!」 主人公は剣で受け流そうとする。だが、衝撃を殺し切れない。 ドゴォン!! 「ぐあっ!」 主人公の身体が吹き飛び、地面を何度も転がった。剣が手を離れ、離れた場所へ突き刺さる。 「大丈夫ですか!?」 巫女が駆け寄ろうとする。主人公は片手を上げた。 「来ないでください!」 「ですが……!」 主人公は痛みに耐えながら立ち上がる。 「次は、まともに受けられません……。」 グラウガが荒い息を吐きながら近付いてくる。 「グフッ……グルルル……。」 口元から黒い瘴気が漏れていた。主人公は震える足へ力を込める。 「まだだ……。ここで倒れるわけには……。」 その瞬間。頭の中へ、聞き慣れた無機質な声が響いた。 スキル「Overtake」 対象:災印獣 グラウガ 同期状態 継続中 対象との同期深度が規定値を超過 追加同期を開始します ・戦闘感覚 同期 +ADD ・危機察知 同期 +ADD 身体負荷 上昇 追加同期完了 主人公は目を見開いた。 「追加……同期?待って……そんな機能、今まで一度も……!」 次の瞬間。グラウガの荒い呼吸。爪が地面を擦る音。肩や脚のわずかな動き。そのすべてが、主人公の身体へ流れ込んできた。 「うっ……!」 胸を押さえ、その場へ膝をつく。心臓が激しく脈打つ。全身の筋肉が、内側から引き裂かれるように痛む。 巫女が叫ぶ。 「どうしたのですか!?」 「分かりません……!」 主人公は苦しみながらもグラウガを見る。すると、グラウガが動くより先に、攻撃の軌道が頭の中へ浮かび上がった。 「右腕……上から来る!」 直後!グラウガの爪が振り下ろされる。主人公は地面を蹴り、紙一重で横へ飛んだ。 ズガァァン!!爪が地面を深く抉る。巫女が息をのむ。 「攻撃が分かったのですか?」 主人公は荒い呼吸を繰り返す。 「いや、こいつの身体が、次にどう動くのか……僕の頭の中へ直接入ってくる。」 グラウガが振り向き、怒りの咆哮を上げた。 「ヴォアァァァッ!!」 今度は両腕を激しく振り回す。主人公は攻撃の隙間を縫いながら、落とした剣へ走る。 「でも……長くは持たない!」 視界が揺れる。腕の筋肉が痙攣し、呼吸が乱れる。主人公は剣を拾い上げた。 「次で決める!」 巫女が杖を握り直す。 「何をすればよいですか?」 主人公はグラウガの胸元を見る。先ほど二人でつけた傷から、黒い瘴気が漏れている。 「あの胸の傷を狙います。」 「私がもう一度、動きを止めます。」 「魔力は大丈夫ですか?」 巫女は小さく首を横に振った。 「大丈夫ではありません。」 主人公が振り返る。巫女は、それでも真っすぐにグラウガを見ていた。 「ですが、あなたも大丈夫ではないのでしょう?」 主人公は一瞬言葉に詰まり、苦笑する。 「……そうですね。」 「では、お互い様です。」 巫女は杖を地面へ向ける。 「必ず止めます。」 主人公は剣を両手で握った。 「お願いします!」 グラウガが二人へ向かって突進する。 「ゴアァァァァッ!!」 主人公も正面から駆け出した。グラウガが右腕を引く。次に来る攻撃が分かる。 「今です!」 巫女は杖を地面へ突き立てた。 「水よ……残された力を!」 細い水流が地面を走り、グラウガの脚へ絡み付く。 「凍てつきなさい!」 冷気が一気に広がる。 「アイスバインド!!」 グラウガの両脚が地面へ凍り付く。 「ギャウッ!?」 巨体が大きく傾いた。だが、氷にはすぐ亀裂が走り始める。 ミシッ。バキッ。 巫女が苦しそうに杖を握り締める。 「長くは……持ちません!」 「十分です!」 主人公は一気に懐へ飛び込んだ。グラウガが爪を振り下ろす。その軌道を読み切り、主人公は爪の内側へ潜り込む。 「ここだぁぁぁ!!」 全身の力を剣へ込める。傷付いた胸元へ、渾身の突きを放った。ズシュッ!!剣が深く突き刺さる。 「グギャアアアァァッ!!」 グラウガの絶叫が森中へ響いた。黒い瘴気が激しく噴き出す。それでもグラウガは倒れない。凍り付いた脚を無理やり動かし、巨大な腕で主人公を掴もうとする。 「まだ……動くのか!」 主人公は剣を抜こうとするが、深く刺さって抜けない。グラウガの爪が迫る。 巫女が叫んだ。 「剣から手を離してください!」 主人公は咄嗟に柄から手を離し、後ろへ飛ぶ。 「何を……!」 巫女は震える腕で杖を掲げる。 「その剣が……目印になります!」 周囲に散らばっていた氷の欠片が、ゆっくりと浮かび上がる。 主人公が目を見開く。 「まだ魔法を……?」 「これで……本当に最後です!」 氷の欠片が鋭い槍へと姿を変える。巫女は剣が突き刺さった胸元へ杖を向けた。 「アイスランス!!」 無数の氷槍が一斉に放たれる。 ズガガガガガッ!!すべての氷槍が、剣を中心に同じ傷口へ突き刺さった。グラウガの胸元から、青白い光が溢れ出す。 「ヴォォォォォォ――ッ!!」 主人公は最後の力を振り絞り、再び地面を蹴った。 「これで……終わりだぁぁぁ!!」 刺さった剣の柄を両手で掴み、さらに深く押し込む。 「うおおおおおっ!!」 青白い光が一気に爆発する。 「グオオオォォォォ――ッ!!」 グラウガが最期の咆哮を上げた。巨大な身体がゆっくりと前へ傾く。ドォォォォォン……。地響きとともに倒れ、森が静寂に包まれた。主人公はその場へ膝をつく。 「はぁ……はぁ……。」 巫女も力を失い、杖を支えに座り込んだ。二人はしばらく、倒れた魔物を見つめていた。やがてグラウガの身体が黒い光の粒へ変わり、静かに消えていく。その場には、黒く濁った大きな魔石だけが残された。 主人公は仰向けに倒れ込む。 「今度こそ……終わりましたよね?」 巫女が少しだけ笑う。 「はい。もう動きません。」 「よかった……。」 巫女は主人公へ手を差し出す。 「私たちの勝ちです。」 主人公は差し出された手を見て、ゆっくりと握った。 「はい。」 立ち上がりながら、主人公も笑う。 「二人で勝てました。」 その瞬間。主人公の頭の中へ、再び無機質な声が響いた。 スキル「Overtake」 対象を検索中…… 特殊対象を検知 同期可能対象:UNKNOWN 誘導を開始します 主人公は突然、森の奥へ顔を向けた。 「……え?」 巫女が尋ねる。 「どうしました?」 「また、僕のスキルが反応しました。」 「ですが、魔物はもう……。」 「はい。今度は、あの怪物じゃありません。」 主人公は森の奥を指さした。 「向こうに……何かあります。」 巫女も同じ方向を見る。 「私には何も感じませんが…。」 主人公は自分の胸へ手を当てる。 「僕にも見えてはいません。でも、向こうから呼ばれているような……。」 巫女の表情が変わる。 「呼ばれている……。」 「変ですよね。」 「いいえ。」 巫女は森の奥を見つめたまま答えた。 「行ってみましょう。」 二人は深い森へ足を踏み入れた。木々の間を抜け、倒れた古木を越えて進む。主人公は一度も迷わなかった。巫女が後ろから尋ねる。 「この森をご存じなのですか?」 「いいえ。今日初めて来ました。」 「では、どうして道が……。」 「道は分からないんです。」 主人公は苦笑する。 「ただ、なぜか、進む方向だけが分かるんです。」 やがて二人は、大きな岩壁の前へたどり着いた。主人公が足を止める。 「ここです。」 巫女は岩壁を見上げた。 「ですが……ここは行き止まりですね。」 主人公は岩壁へ近付く。 「それでも、ここから感じるんです。」 自然と手を伸ばし、岩へ触れる。その瞬間。 ブォォォン……。 岩壁に青白い光の線が走った。主人公が驚いて手を引く。 「な、何だ!?」 巫女も目を見開く。 「この紋様は……!」 ゴゴゴゴゴ……。地面が揺れ、岩壁がゆっくりと左右へ開いていく。その奥には、森に隠された古代遺跡が広がっていた。崩れかけた石柱。苔に覆われた石畳。そして中央には、太陽が昇るような紋章が刻まれた巨大な石碑。主人公は石碑を見上げる。 「これが……僕を呼んでいた?」 巫女は言葉を失ったまま、石碑へ歩み寄る。震える指先で紋章へ触れる。 「間違いありません……。」 主人公が尋ねる。 「これを知っているんですか?」 巫女は静かに頷いた。 「はい!これは、世界を守る五つの印の一つ。」 石碑の紋章が、弱々しく明滅する。巫女はその名を口にした。 「黎明(れいめい)の印……。」 一拍置き、主人公を見る。 「《アルカ》です。」 「黎明の印《アルカ》……。」 主人公が石碑へ近付いた瞬間。 ブォォォォォン――。石碑から淡い黄金色の光が溢れ、遺跡全体を包み込んだ。巫女は驚愕する。 「そんな……。」 主人公も光の中で目を見開く。 「今度は何なんだ……?」 巫女は主人公と輝く石碑を交互に見つめる。 「どうして……。どうして、あなたが……。」 主人公は戸惑いながら首を横に振る。 「僕にも分かりません。Overtakeが、勝手に反応して……。」 「Overtake……。」 巫女は主人公を見つめたまま、言葉を失う。千年の眠りから目覚めるように、黎明の印《アルカ》の光が静かに二人を照らしていた――。