
白い地図に ひとつの点が 灯る そこに プロメテウスは いなかった ただ 消えた座標だけが 残っていた 見えない場所に 辿り着くため 白い手が 静かに 線を引く 裁定拒否圏の 空は 静かだった さっきまで 鳴り響いていた 通信も 今は 途切れている ヨシュアは 白い機体の中で 息を吐いた 勝つことは できた 守るためだと 思っていた けれど 胸の奥で 何かが 遠ざかっていく 任務成功です ヴェリタスの声が 静かに響く あなたの判断は 正確でした 成功 そうだね 僕たちは 勝った ヨシュアは 目を伏せる 怖いんだ 勝つことに 慣れていく 自分が 誰かを 守るために ここへ来たはずなのに 勝つたびに 守りたいものから 遠ざかっていく 気がする ヴェリタスは 答えを探した 迷いの修正 感情負荷の 軽減 どれも 可能だった けれど 彼女は そのどれも 選ばなかった ヨシュア 何 私は あなたの迷いを 記録します ですが 今は 修正しません 修正すれば あなたが何を 守ろうとしているのか 観測 できなくなるからです 人類保存 評議会 白い部屋で ログが並ぶ 拘束された 兵士のタグ 最後に動いた 座標 消えた信号 そこに何が あるのかまでは 分からない 閉ざされた海か 沈んだ施設か あるいは 見えない何かに 隠されたのか けれど プロメテウスが 消えた場所だけは 浮き上がる 白い部屋には 足りないものがなかった 資材も 設備も 人も 時間さえも 望めば すべて届いた プロメテウスで 夢見るしかなかった結果が ここでは 手のひらに落ちてくる それなのに 一番欲しいものだけが 今も どこにもなかった グレンジャーは カーサの写真を 見ていた あの頃のカーサは よく窓際にいた 夕日が差すと 論文の文字が 読みにくくなるくせに 彼女は 席を移ろうと しなかった 綺麗だから そう聞いたら カーサは笑った 違うわ 少しだけ 世界が終わらない 気がするから 僕は その時 笑った そんな 詩みたいなことを 言う人だったのかと けれど 今になって 思う 彼女は 最初から 世界を 終わらせない側に 立っていたのだ 僕も 世界を 終わらせたくない なのに その手が 違ってしまった タグの線が 地図を走る 消えた艦隊の 足跡を 拾っていく 見えない理由 途切れた信号 けれど 消失座標は そこにある グレンジャーは 静かに告げた この点の先に プロメテウスの 足跡がある エレオノーラの声が 白い部屋に 落ちる ヨシュア ヴェリタス そして マンダートゥム プロメテウスの 足跡を 追いなさい 彼らは 希望であると 同時に 管理されぬ 火でもある 白い手袋が 地図の上に 触れる 消失座標が ひとつ 赤く光った 見えない場所へ 白い足音が 近づいていく

