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Midnight Static

V5.5

[poetry reading] 冷え切った庫内の灯りだけが、無造作に部屋を照らしている。 扉を開けても、求めているものは入っていない。何かが食べたいわけでも、喉が渇いているわけでもない。ただ「何か」を探して開けては、諦めて静かに閉める。 ソファに戻り、スマートフォンの画面に目を落とす。 画面上を滑る指。 見覚えのあるサムネイルばかりが並ぶサブスクのホーム画面を、目的もなくスクロールし続ける。おすすめの映画も、話題のドラマも、今の心の隙間にはしっくりこない。 部屋に響くのは、低周波音だけ。 普段は気にも留めないコンプレッサー音が、やけに鮮明に部屋を満たしていく。 夜の静寂、空腹になりすました虚無、そしてどこか所在のない退屈。 そんな、理由のない小さな孤独が漂う静かな夜。 「寝なきゃなのに」 小さく漏らした独り言は、壁にぶつかって 音も立てず床に落ちた。 もう真夜中なのに、一向に冷めてくれない。 昼間の熱を抱えたコンクリートが、じわじわと部屋の隅から熱を放ち続けていた。 エアコンの風に当たっていても、肌の奥に残るあの生ぬるいけだるさは消えてくれない。 まるで世界全体が発熱しているみたいだ。 冷えた缶ビールを喉に流し込めば、この蒸し暑さも、この夜も一瞬は誤魔化せるのかな? でも、求めているのはそんなアルコールの痺れじゃない。 本当にほしいのは、この熱をそっと奪い去ってくれる冷たい夜風か。 あるいは、何も考えずに深い眠りへといざなう心地よい諦めか。 重い瞼をゆっくりと閉じてみる。 暗闇の向こうで、まだ室外機が遠く低く唸っている。 明日が来るのを少しだけ拒みながら、ぬるい夜の渦の中、もう少しだけ身を沈めてみた。 [instrumental breakbeat interlude] [prominent chopped Amen break, intricate breakbeat drums, sudden rhythmic intensity] [deep walking bassline, moving sub bass, dusty lo-fi texture] まだ終わっていない「何か」が、胸の奥で小さく喉を鳴らしている。 今日という一日を終わらせるためのチェックリスト。 そこには載っていない、名前すらつけられない小さなミッション。 [drums suddenly drop out] [return to sparse lo-fi ambience] [understated rap delivery] あの一言への返事の正解 探すことかもしれないし、未来のぼんやりとした不安に 名前をつける作業かもしれない。 あるいはただ、 「今日をちゃんと生きた」 という手応えを一つも掴めなかった ことへの、静かな悪あがきか。 ベッドの中で寝返り を打つたび、 その未消化の何かがポケットの中で音を立てるカサリ。 「寝る」ということは、 今日を諦めて明日に引き渡すことなのかな? けれど、この未消化のミッションを抱えたままじゃ、 瞼を閉じるのを拒んでしまう体が。 喉を鳴らしていた室外機が、 静かに音を潜めた。 それならいっそ、解決しようとするのをやめてみようか? 名前のないミッションは、 そのまま 名前のないまま、 枕元にそっと置いておけばいいんだ。 このまま夜を明かしたって、世界は何も変わらないさ。 熱を持ったシーツの冷たい場所を足先で探しながら、もう一度、深く息を吐き出した。 今日を完璧に終えられなかった自分を許すこと。それが、今夜のミッションだと自分を諭しながらまた寝返りをうった