
見つけた シエラはそっと そう呟いた こぼれた涙が 弦に落ちた 名前も姿も やっと見つけた わたしを抱いた 歌人の影 ゼノン その名を呼べば 胸が痛くて 知らないはずの 温もりが鳴る 楽師の名前と リュシアンの声 ふたつの祈りが ひとつに重なる 愛された記憶 忘れた記憶 このマンドリンは 全部抱いていた わたしはずっと ひとりではなく 誰かの旅に 抱かれていた 名を返すため 真実を歌う その人の跡を わたしは辿る 別れの朝に 背を向けても 同じ真実が ふたりを呼ぶ 名を追う旅が 続く限り いつか道は また重なる エリアスはただ 赤き旗を見た その色はもう 誇りではなく 記されぬ罪と 消された名前 記録の中に 眠る闇だった ライオネルの名も ゼノンの声も 誰が奪った 誰が塗り替えた 剣を持つ者が 知らねばならぬ 赤き旗の 奥にあるもの おまえは歌え 失われた名を 私は戻る 記録の中へ 隠された罪 閉ざされた夜 この剣でなく この目で確かめる 別れの朝に 背を向けても 同じ真実が ふたりを呼ぶ 名を追う旅が 続く限り いつか道は また重なる 出会えるといいな おまえの想い人に エリアスは 静かに言った うんとシエラは 小さく頷き 弦を胸に 強く抱きしめた また会えるのと シエラは問う 風がふたりの 間を抜けた 真実を追えば 道は重なる エリアスは 静かに答えた その時こそは 君を守ると 剣の人は 誓いを立てる シエラは少し 涙で笑い 弦を胸に 強く抱きしめた ひとつの朝に 道はふたつ 町の向こうへ 旅路は伸びる シエラはゼノンの 足跡を追い エリアスは赤き 都へ戻る 誰もまだ 答えを知らず 誰もまだ 終わりを知らず けれどふたりは 知ってしまった 名前は歌わねば また奪われる 別れの朝に 背を向けても 同じ真実が ふたりを呼ぶ 名を追う旅が 続く限り いつか道は また重なる 離れるほどに 近づくものがある 弦と剣は まだ終わらない その時こそは 君を守ると 朝の風に 誓いが残る シエラは振り向き 小さく手を振る エリアスはただ 剣を胸に当てた 風の中で 弦がひとつ鳴る 別々の道に 同じ名を抱いて

