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プロジェクトx えと

V5.5

世界を変える気はなかった。ただ、好きなことを、全力でやりたかった。その名も――えと。しょうもない題材ほど、本気で構造を組んだ。急停止。無音。そして、合唱。理想は高かった。だが、行動は――豆粒だった。石像の皮をかぶり、タバコを吸い、誰にも見えないところで、今日も一音を直していた。自由でいたかった。なのに、細部は全部、自分で決めたかった。面倒なことは、AIに投げた。しかし、最後の一行。最後の一音。最後の一語だけは、譲らなかった。その時だった。――コメントが、来なかった。一時間。三時間。一日。えとは、画面を見つめた。更新した。もう一度、更新した。そして呟いた。「……俺のセンス、悪くなくね?」返事は、なかった。機嫌は、露骨に悪くなった。曲を閉じた。タバコに火をつけた。プリンを開けた。そして――プリンまで、落とした。終わった。すべてが、終わったかに見えた。だが。床に落ちたプリンを見ながら、えとは思った。しょうもない。実に、しょうもない。だからこそ――本気でやる価値がある。真剣に馬鹿をやれ誰にも分からなくていい理想は高く行動は豆粒それでも一音鳴らせばいい自由でいたい細部も決めたい矛盾したままで進めばいいプリンと筋肉般若心経ガバキックまで連れてゆけ世界は、変わらなかった。たぶん明日も、変わらない。だが、一つだけ確かなことがあった。えとは、また曲を作る。それでも今日も、曲を作る。――プリン食べてから。その挑戦は、たぶん、まだ続く。