
丘のむこうで 鐘がなる 刈りあと染める 月あかり 知らないことば 呼ぶ声に 手まねきひとつ 火のそばへ 麦のかんむり ななめにして パンをちぎった 粉のゆび あけてくれたの ひとりぶん 長いベンチの まんなかに ひと束 畑に ひと切れ 皿に 帰らぬ人にも あかりを ひとつ まわれ まわれ 金の穂よ 月のひかりを 編みこんで ゆれる ゆれる 輪のなかで 知らない唄が 声になる ララ ルララ 夜はまだ 杯のふちに ゆれている 実りを 土へ ぬくもりを 手へ もうひとめぐり この唄を 古い弦から こぼれる音 木靴の拍子 石だたみ すこし遅れて 踏むたびに 笑ってゆれる 耳かざり 焼いたりんごと 蜜の酒 袖にうつった 煙の香 海のむこうに 置いてきた 窓辺の灯りを 思いだす ひと粒 春へ ひと口 明日へ 旅ゆく人にも 寝床を ひとつ まわれ まわれ 金の穂よ 月のひかりを 編みこんで ゆれる ゆれる 輪のなかで 知らない唄が 声になる ララ ルララ 夜はまだ 杯のふちに ゆれている 実りを 土へ ぬくもりを 手へ もうひとめぐり この唄を 火の粉がひとつ 星にまぎれ 夏の名残が ほどけてく ふいに恋しい 遠い家 となりの肩が そっと触れた ことばにならない そのぶんを おなじ母音で 歌っていた ああ ああ 月を見あげて 土にねむる 次の春 胸にのこる 今夜の火 受けとるパンと 返す皿 また輪のなかへ 差しだす手 まわれ まわれ 金の穂よ 月のひかりを 編みこんで ゆれる ゆれる 輪のなかで 知らない唄が わたしの唄に ララ ルララ 夜明けまで あとひとつだけ 歌わせて 実りを 土へ ぬくもりを 手へ 旅立つ朝にも この唄を ララ ルララ ルララ ララ ああ ああ

