
冷たい雨が 煙る港 あなたを乗せた 最終の船 指に残った 煙草の匂い 拭うことさえ できなくて 別れの汽笛 暗い海へ 未練の影を 引きずりながら 「愛している」と言わせたあとの 静かな顔が 冷たくなって 見送る背中に すがりつけたら 女の矜持 も 捨てられたのに その手をとって 引き止めようと 触れた指先 冷たくて あぁ 雨の連絡船 ちぎれて消える 死ぬほど好きな 男でした 波の彼方へ 連れてゆく 二度と戻れぬ 北の旅 沖へ向かう影 雨に濡れて 揺れる灯りも かすんでゆく かすむ汽笛に 耳を澄ませば 涙のあとも 冷たくて 黒い波間に 呑み込まれてく 二人で暮らした 罪のあと あぁ 濡れたコートの ポケットのなか かたく結んだ 指先ひとつ これであなたは わたしのものよ 証拠 も消えた 雨の港 さよなら……あなた…… 冷たい海で 眠りなさい

