シナプス✨ 朝いちばんに 開けた引き出しで 昨日見つけた重力が 丸くなっていた 逃がさないように 両手で包む 指の間を するりと抜ける 机の端に座らせると 少しだけ転がって 私の爪(つめ)先に 寄り添って止まった 三限目の窓際で 重力が うす目を開けた 文字の間を すり抜けて ノートの余白で 丸くなる 周りは何も 気づかない 私も気づかない ふりをする ぼやけた姿は まるで 井戸の底から見る 空みたいで 事実は 話さない方が きれいな形になる 名前を考えたけれど いつも呼んだ瞬間に 違うものになるから 今日はまだ そのままにしておいた うすい重力 うすい重力 落ちるほどでもない 気持ち 意識するほどでもない 気持ち その間を 往復している うすい重力 うすい重力 私の袖を 引っ張って まだ知らない日常へ 少しだけ沈める スクロールの間に 重力は 二つに増えていた 片方は 景色の過ぎる窓辺 もう片方は 吊り革から どちらも こちらを見ていて 思わずくちびるが 少しだけ動いた 存在しているかどうかより 近くにいるかどうかの方が 大事なものもある そんなことを考えていたら 重力が一つ 肩へ飛び乗った うすい重力 うすい重力 世界の輪郭を少しだけ 柔らかくするためのもの たぶんそれだけ たぶんそれだけ  …それだけで 今が違って見える 夜になったから 机の上にはもういない それなのに 部屋の隅っこだけ ほんの少し 傾いていた