冷蔵庫の奥に転がってた 怪しすぎる青い小瓶 「一口飲めば世界が変わる」 そんな言葉を信じた僕 ゴクリと飲んだ三秒後 ズボンが突然ずり落ちた 床が遠くに離れてく いや違う!僕が縮んでる! 身長わずか十八センチ スリッパさえも巨大な船 テーブルの上は断崖絶壁 どうすんだよ!これ! ちっちゃい!ちっちゃい! 世界がデカすぎる! 昨日の常識が全部ひっくり返る ティッシュ一枚パラシュート 輪ゴムを使って大ジャンプ! 小さくなったこの僕に 家の中が大宇宙! 廊下に出たら地響きが ズシン!ズシン!と近づいた 現れたのは飼い猫のタマ いつもの顔が怪獣だ! 「タマ!僕だよ!わかるだろ!?」 ニャー!と鳴いて飛びかかる 靴下の中へ緊急避難 お願いだから食べないで! やっと逃げ込んだ台所 甘い匂いに誘われて クッキーひとかけ抱えたら 背後に黒い影が立つ アリだ!しかも十匹いる! 待て待て!これは僕のだ! ちっちゃい!ちっちゃい! 油断も隙もありゃしない! 水滴ひとつが大洪水 掃除機なんてブラックホール リモコンの隙間に隠れたら テレビが突然しゃべりだす 「本日のニュースをお伝えします」 うるさーい!耳が壊れる! そのとき聞こえた小さな声 「ねえ、そこの人間さん」 振り向くと一匹のアリが 僕をじっと見上げてた 「あなたも薬を飲んだのね」 「えっ?どういうこと?」 「元に戻る方法なら 知ってるけれど……」 「代わりにお願いがあるの」 アリに案内された先には 壁の隙間の小さな部屋 そこに並んだ無数の瓶 全部あの青い薬だった 「ここで薬を作ってるの 人間に気づいてほしくてね 踏みつぶされる私たちの 小さな世界があることを」 ちっちゃい!ちっちゃい! でも命は同じだ! 誰かにとっての小さな道も 誰かにとっては大切な家 見えなかった景色の中に 知らなかった暮らしがある 僕はアリと約束した もう足元を忘れない 元に戻った次の朝 玄関先で立ち止まる 一列に歩くアリたちを 踏まないようにまたいだら 先頭のアリが振り返り 小さく片手を上げた ……って、アリに手なんか あったっけ!? ポケットの中で青い瓶が カランと笑った


