
帰ってきたのに 心は まだ戦場の中 白い裁定の 光だけが 瞼の裏に残る ハンガーの隅に 空いた場所がある シールドの機体は そこにない いつものお団子も 小さな足音も ツッコむ声も 帰ってこない 白い部屋の外で 言葉がぶつかる グレンジャーは 低く言う アルカの接続反応を 一時的に上げる 薬物と 神経負荷で エクス・オルビスを 目覚めさせる エアの命令系統も 逆に辿れば マンダートゥムへの 経路になる カーサの声が 壁を叩く それは実験よ それは人質よ アルカを壊して エアを縛って それで救いと 呼べるの 返らない名前が 船の中に降る 呼んでも 呼んでも 答えはない 守りたかった ただそれだけで 誰かを壊すなら それは救いじゃない まだ誰も 裏切っていないのに もうみんな 違う夜を見てる ロックされたはずの 部屋の扉 誰にも 見られずに開く アルカは尋ねる 今は 大丈夫なのか エアは答える はい 彼は追従していません 今 私に命令は 届いていません だったら 少しだけ聞いてくれ 俺は アダムじゃない でも 分かったんだ 俺の元は アダムって人なんだって それから 君が 殺したくなんて なかったことも エアは 目を伏せる 私には 殺す命令がありました でも 殺したくはなかった その違いに 意味はありますか あるよ 俺にはある 返らない名前を それでも呼ぶよ アダムじゃない でも逃げない 君の声が 震えていたこと 俺は 忘れない 助けてくれて ありがとう その一言だけ 残して アルカは 静かに部屋を出る その言葉は 私に向けられたものですか 受け取って いいものですか 誰にも 聞こえない声が 白い部屋に 落ちる レーチェルは アルカの部屋の前で 一度だけ 名前を呼ぶ アルカ 部屋には 誰もいない 脱ぎ捨てた ジャケットだけが 今ここに いたことを示す どこに 行ったんですか あなたは 通路の隅に ルイスが座る ラジカセは 黙ったまま おちゃらけた声も 聞こえない そこに マーガレットが来る 何も言わずに 隣に座る 慰めも 言い訳もなく ただ 同じ床の冷たさを 知っている 扉の向こうで ヨシュアは黙る 折れた剣の 記録を見つめる 呼べなかった名前が 唇に残る けれど 部屋の外へは 出てこない 返らない名前よ どうかまだ消えないで この船の 暗い底に わずかな光を 残して 返らない名前よ 答えなくていい それでも 呼ばせてほしい 失ったものを 数えるより まだ 名前で呼びたい まだ誰も 終わりだと言えない まだ誰も 手を離せない プロメテウスは 傷ついたまま 次の夜へ 静かに進む

