本と小瓶を見比べて 窓の月まで首かしげた あと一滴で変わるかな 袖をまくって顔を寄せる 見本の青には遠いけど 底のほうだけ きらりと揺れた しまいかけてた指が止まる 灯りを片手で隠してみた 右へ傾け 左へ戻す 唇に小さな笑み 窓辺でかざした その先に まだ起きている屋根の列 栓をきゅっと 帽子を押さえ つま先で窓を ひとつ蹴った 青い風が頬をすべる 思わずこぼれた笑い声 屋根を越えて もう少し上 瓶の光はポケットのなか あの塔までと決めたくせに その向こうまで目で追っていた 尖った屋根を回り込む ふくらむマントを片手で払う 見慣れた時計が足の下 靴の先まで軽くなる 誰もいない高い窓に 流れる銀の髪が見えた 帽子のつばを上げながら もうひと回り弧を描く 少し冷えた指を曲げ 小瓶の丸さを確かめる 灯りの遠い屋根を選び 並べた両足 揺らしていた 瓶をそっと 星に重ね 片目を閉じて のぞき込んだ くるり回せば色がほどける こんな色まで隠してたの 本のページを 思い出して 比べかけたら頬がゆるむ もう一度だけ月にかざす 胸の高さへ引き寄せた 小さな栓を 指でなぞる 明日は何と混ぜてみよう 膝に落ちてた 髪を払い じっとしていられず立ち上がる 栓をきゅっと 帽子を押さえ さっきより軽く空を蹴った 青い風に肩を預け 今度は隠さず声を立てる 屋根を越えて もうひとつ先 帰る窓には灯りがひとつ そちらへ向けた箒の先を くいっと隣の道へそらした ポケットの上を そっと押さえ 遠くの塔へ顔を上げる ほどけた髪もそのままで