
言い出せない気持ちを ポケットで温め 「大丈夫?」のかわりに 視線を合わせる 君の今日(きょう)の高さへ 半歩だけしゃがみ 短い「ここにいるよ」を そっと置いた 上手さより **角度(むき)**がいる 声量より 温度の行き先 **拍(はく)**をひとつ 息をそろえたら 沈黙さえも 合図になる 波及効果(はきゅうこうか) ひと筋のことばが 円を広げていく 「がんばれ」より「つらかったね」 置き場を変えれば 水が光になる 心 × エネルギー(エネシン)= 伝わる力 小さな合図でも 岸まで届く 机から机へ 風みたいに渡る 名もない親切が 拍の間を満たす 君が小さくうなずく それだけで 遠い席の誰かまで 呼吸がそろう 増やすより 削っていい 飾りはいらない 真ん中の温度 “私”から“あなた”へ 主語をひとつ替えたら 距離のメモリが ひとつ縮む 波及効果 短い一行が 回路を温める 比べる癖より 寄りそう姿勢で 同じリズムなら 色が戻ってくる 心 × エネルギー(エネシン)= 灯る回路 世界の明度が ひとつ上がる (無音の一拍) 正しさよりも あなたの痛点(いたみ) 触れない距離で そっと守る (無音) 最初の円は小さい でも確か やがて重なって 波路(なみじ)ができる 波及効果 ゼロだった式に 灯りが差し込む 角度・温度・拍がそろえば 届かなかった声が 歌へ変わる 手と手のあいだに 細い橋がかかり 心 × エネルギー(エネシン)= 変わる世界 一粒の合図から 君へ、そしてみんなへ 静かな水面に 輪がいくつも残る 今日の最初の円を 明日へ渡していく


